提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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野菜編:葉茎菜類

レタスの栽培体系

(2022年11月 改訂)

圃場準備

●土壌診断結果に基づき施肥設計を行ないます。
●10aあたりの標準的な施肥量は窒素15kg、リン酸18kg、カリ20kgですが、レタスは、品種により施肥反応特性が異なるため、地力窒素や作型、栽培品種の特性に合わせて基肥量を決定します。
●堆肥は、2t/10a程度をマニュアスプレッダで散布します。

施肥、耕うん、うね立て、マルチング作業

●ロータリー耕により、耕起・砕土・整地作業を行います。
●石灰質資材や熔成燐肥などの小粒肥料はライムソワを、化成肥料など粒形の資材はブロードキャスタをトラクターに装着し、土壌診断に基づいた施肥量を散布します。
●マルチング用機械(全面マルチャー)で条間45cmのうねを立て、作業と同時にマルチ被覆を行います。
●マルチ資材は、低温期の春どり作型では、地温上昇を目的に「黒色ポリマルチ」を、高温期の初夏どりから夏秋作型では、地温抑制のため「白黒マルチ」を使用します。 

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全面マルチャー

育苗

●育苗作型が主体で、セル成型育苗や一部でペーパーポット育苗が行なわれます。 
●育苗には、春どり作型は200穴トレイ、夏秋どり作型では288穴トレイやペーパーポットが用いられます(水稲用育苗箱や専用アンダートレイの上に、セルトレイを置いて使用)。
●育苗箱(トレイ)に、主にピートモスなどが入った軽量培養土を詰め、播種器で1穴に1粒ずつ播種し、細粒のバーミキュライトなどで覆土を行います(コーティング種子)。
●早春の低温期や夏の農繁期には共同育苗が活用され、この施設では、土詰め機や播種機が利用されます。
●近年、大規模経営体等を中心に全自動播種機の導入が進んでおり、播種作業がほぼ1人で行なえ、省力・効率化(別表参照)を図っています(作業工程の写真:別添)。

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共同育苗施設の播種

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全自動播種機

●育苗温度は、最低5℃、最高23℃を目標に管理します。
●特に高温期は、苗がシャモジ葉となるだけでなく、25℃以上で種子の発芽率が劣るため、温度管理には注意が必要です。
●天候に合わせて灌水を行い、展開葉数3.5枚程度の苗に仕上げます。 

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育苗

定植

●全面被覆したマルチ資材に株間25cm~27cm間隔で穴を開け、定植します。 
●深植えや斜め植えは球底部の変形につながるので、注意しながら定植します。
●地域によっては、移植機を利用した機械定植も行われています。 

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定植直後(左)(上)と定植後(右)(下)

防除

●主な病害は、斑点細菌病、軟腐病、腐敗病などです。
●主な害虫は、ナモグリバエ、オオタバコガやヨトウガなどのチョウ目害虫の幼虫などです。
●トラクタ直装式のブームスプレーヤにより防除を行います。
●ブームに装着されているノズルは、農薬飛散(ドリフト)防止や通常防除用、灌水を目的としたノズルが使用されています。

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防除

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収穫直前

収穫・調製

●玉レタスは、結球性野菜の中でも収穫の判定が難しい品目です。
●収穫が遅れ過熟になると、玉しまりが硬くなりすぎたり葉柄が褐変するので、注意が必要です。
●地際から包丁で切り、外葉1~2枚を残して調製します。
●切り口からは乳液が出ます。酸化すると褐変するので、動力噴霧器等で水道水を吹き付けきれいに流します。
●出荷用の段ボールやコンテナに詰めて出荷します。

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切り口洗浄(左)(上)と箱詰め(右)(下)

執筆者
長野県農政部 堀 澄人
(育苗一部改変) 田中 真延

(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)

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