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農作業便利帖


野菜編:果菜類

無加温地這いメロン栽培の作業体系

圃場準備

●定植1カ月前に土壌改良資材や堆肥を全面に散布し、耕起する。
●元肥は定植2週間前までに施用し、畝幅200cm、高さ20cmの畝を作り、十分潅水してマルチを張る。
●潅水チューブを設置する場合は、株元を乾かすために、株元から30cm以上離して設置する。
●施肥は緩効性肥料を主体に全量元肥とする。


(茨城県 野菜栽培基準より)

播種・育苗

●床土は市販の育苗培養土を使用する。自家製の場合は、山土に砂やくん炭を加えて排水の良い床土を作る。
●播種は、幅6cm種子間隔1.5cm程度の条まきとする。10a当たり必要となる播種床は2㎡、箱播きの場合は6箱、種子数は900粒とする。
●鉢上げ活着後は、潅水を少なめに行い、苗の徒長を防ぐ。
●育苗中から管理温度を徐々に下げて、定植時の本圃の条件よりわずかに低い程度の、床温度16℃、最低気温10℃まで下げる。
●定植1~2日前、4枚目の本葉が展開中に、4枚残して摘芯する。
●つる割病、えそ斑点病等の土壌病害が心配である場合、土壌消毒を行うとともに、抵抗性台木を用いた接ぎ木栽培とする。


摘芯中の苗の様子

保温装備

●定植時期によって最低気温が異なるので、トンネル被覆を加減する。
●厳寒期に定植する場合は、三重~四重被覆とし、さらに水封マルチを用いる。
●水封マルチは、ポリダクトに水を充填してベッド上に置き、日中水に蓄熱し、夜間その放熱を利用するもので、ビニル被覆一枚に相当する効果がある。

定植 

●育苗日数は40日程度が目安で、本葉4枚の苗を定植する。
●地温が18℃以上であることを確かめてから定植する。
●土壌が乾燥しているときは定植後に差し水を行うが、地温を下げないように注意する。
●畝幅200cm、ベッド幅120cm、1条植え。
●株間は、片だし誘引の場合は、50~60cm、両だしでは45~50cm。
●間口5.4mのビニルハウスの場合、10a当たり2畝で栽植本数は600~800本程度。

●低温期ほど保温力のある間口の広いハウスを使用 (5.4m → 4.5m → 3.6m)
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12月~1月定植:株間60cm
低温期は片側誘引で生育を揃える


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2月以降定植:株間50cm
両側誘引は株数を多くできるが作業性劣る


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1条ベッドでの誘引
株間:40~45cm


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1株当りの生育を揃えるための栽植方法


左から上から 定植作業 / トンネル開閉作業

病害虫防除

●つる枯れ病、菌核病、べと病、斑点細菌病、うどんこ病などが発生しやすい。また、高温期にはアブラムシ類やオンシツコナジラミなどが発生しやすい。
●いずれも初期防除が大切であるため、換気に注意したり、防虫ネット等を活用するなど耕種的防除に努める。

整枝

●子づる2本仕立ての場合、27~28節で摘芯し、孫づるは着果枝と上位の遊びづる数本を残して摘除する。


左から上から つる引き作業 / 子づる摘除作業

着果

●着果節位は11~15節を目標に、時期や生育状況を見て加減する。
●人工受粉か、ミツバチを放飼して着果を図る。
●果実が鶏卵大になる頃、形状の悪いもの、花落ちの大きいものを摘果する。
●大きさ・形状が優れ、揃った果実をできるだけ連続した節位に、1つる2個残す。
●果実の敷き皿は、低温期にはネット発生後に、高温期には摘果直後に敷く。

収穫

●受粉後の日数および着果節葉の黄化程度などから熟度を判断し、試割りして収穫日を決める。
●若切りすると糖度だけでなく肉質も劣り、取り遅れると裂果や果実軟化を引き起こすので注意する。
●成熟日数は、品種によってかなり異なる「アンデス5号」で開花後58日、「タカミ」では60日程度が基本になるが、積算温度と関係が深く、早い時期ほど日数が長く、遅い時期ほど短くなる。

執筆者
岩瀬 明人
茨城県農業総合センター

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