イチゴ施設栽培の作業体系
親株管理
●親株床の面積は、本ぽ10aに対して、3~4a程度必要となります。
●親株の必要な株数の目安は下記のとおりです。
・10a当たりの定植本数 7,000~7,500株
・予備苗 1,500株
●親株1株から本葉2~4枚の子苗が約20~25本採苗できると試算すると、本ぽ10a当たりの必要親株数は、340~360株程度となります。
「土耕栽培」
●温度と土壌水分を確保することが大切です。
「空中採苗」
●空中採苗では、不時出蕾が発生しやすくなりますので、生育の停滞が起きないよう、培地内EC、pHを定期的にチェックし、親株の栄養状態を維持します。また、培地内の過湿にも注意してください。
土耕栽培(左)と空中採苗(右)
育苗
●ある程度まとまった数を採苗して一度に仮植します。採苗した苗は、次の日まで置かず、その日のうちに仮植できる数量を考えて採苗します。
●仮植方法は、クラウン部を地表に出し、深植えとならないようにします。深植えして生長点が埋まってしまうと、新葉が展開せず、芽枯れを助長しますので注意しましょう。
●小苗では、着花数の減少、収量の低下を招き、極端に肥切れをすると、定植後の初期生育が抑制され、心止まり株(芽なし)の発生につながります。定植時のクラウン径は、ポット育苗で10~11mm、セル育苗でも8mmを目標にします。
本ぽの準備
●前作の作付終了後、湛水除塩等による土壌管理を行い、土壌消毒を徹底します。
●その後、堆肥等の土壌改良材を投入し、土壌診断結果に基づき基肥を施用します。
湛水処理(左)と薬剤による土壌消毒(右)
・定植床は畝幅110~120cmの高畝とし、畝上げ後は、適期に定植できるよう、古ビニールなどで被覆しておきます。
畝上げ
定植
「適期定植」
●花芽分化確認後速やかに定植します。定植が遅れると株の充実が悪く、頂花房の花数の確保ができなくなり、生育も遅れて初期生育、総収量の低下につながりますので注意します。
●定植は根が土とよく密着するように根を広げて植付け、クラウン部からの1次根の発生を良くするため、やや深植えとします。
●株間は24cm程度が目安となります。株間を狭めると単位あたりの収量は多くなる傾向がありますが、果実の肥大が劣り、上位等級の発生も少なくなります。
定植された苗
定植後の管理
「活着促進」
●活着の遅れは、定植の遅れと同様に生育遅れや減収につながります。定植後のかん水には特に注意し、クラウン付近が乾かないように一日数回こまめにかん水し、活着を促進します。
「生育初期の株づくり」
●生育初期に株を充実させないと収量増加につながりません。定植後から土壌水分の安定供給と適正な温度管理を行い、収穫始期の草丈は24~25cmを目安に管理します。
「保温開始」
●保温開始は、収穫の連続性を考慮し、一次腋花房の花芽分化確認後に行います。
●保温直後は外気温が高いため、温度やかん水に留意しながら草勢を管理します。
「温度管理」
●収量と品質の面から昼温25℃、夜温8℃を目安に管理します。日中の高温管理は果実が軟らかくなり、傷み果発生の原因となりますので注意が必要です。
●11月までは、日中の高温に注意し、厳寒期は二次腋花房の受精促進と草勢維持のため、特に夜温の確保に努めます。
栃木県農政部経営技術課
粂川 郁男