タマネギ栽培の作業体系
圃場準備
●プラソイラやサブソイラで排水対策を行います。
●定植20日前までに石灰類や堆肥を施用します。
●畑利用の場合は額縁明渠や傾斜均平を行います。
●水田利用の場合は額縁明渠、耕盤破砕を行います。とくに東北・北陸の水田利用の場合は、入排水路を確認します。もし可能であれば、ブロックローテーションに組み込むとよいでしょう。
排水対策 サブソイラ(左上)と、プラソイラ(右下)
ライムソワーによる石灰散布
育苗
●育苗には、地床育苗とセル成形育苗があります。
●地床育苗は育苗の資材と労力が少なくてよく、セル成形育苗は、小面積で大量の苗を育苗でき、定植作業が省力的です。
●大規模栽培では、セル成型育苗が増加しています。
「地床育苗」
●石灰資材、完熟堆肥は播種1カ月前までに施用し、土壌pHを6.0~6.5に調整します。
●苗立枯病や雑草の発生を防止するため、播種2週間前までに土壌消毒をしておきます。
●施肥量(a当たり)は、窒素1.5~2.0kg、リン酸2.5~3.0kg、カリ2.0~2.5kgを目安に施用します(火山灰土地域では、リン酸を多用しますが、地域により異なりますので注意が必要です)。
●品種に応じ、適期播種を行います(抽苔、開花を防ぐため、作型・播種期に応じて品種を選定します)。
●覆土後に十分潅水し、寒冷紗等を被覆して、一斉発芽を促進します。
「セル成形苗育苗」
●448穴のセルトレイを使用します。
●種子はコーティング種子を使用し、播種機で播きます。
●遮根シ-ト等で、トレイを地面と隔離しておきます。
●播種後は覆土が乾燥しないように、こまめにかん水します。
●草丈が高くなったら剪葉を行います。
左上 :みのる製タマネギ全自動播種機 / 右下 :播種後のセルトレイ
左上 :セル成形苗の育苗状況 / 右下 :剪葉機
基肥施用、定植準備
●定植7日前までに基肥を施用します。
●砕土率が活着の良否に影響するので、土壌水分に注意して耕起します。
●マルチ栽培の場合は、畝立て後に軽く鎮圧してからマルチを被覆します。
●とくに水田を利用する場合は、局地的な豪雨等を配慮して、やや高畦とします。高畦栽培は、べと病の対策としても効果があります。
●一般的に早生種はマルチ栽培、中・晩生種は裸地栽培とします。
左上 :フロント施肥機+トラクタ / 右下 :トラクタ+超砕土成形ロ-タリ
定植
●10a当たりの植付本数は、27,000~30,000本です。
●地域および作型に応じて、適期定植を行います。とくに、北海道、東北北陸で、春播き秋どりの場合は、作型に合った品種を選定します。
●生長点が土にかくれる深植えは、定植後の生育が抑制されるので注意します。
左上 :クボタ全自動歩行型定植機 (OPK-4)/
右下 :クボタ半自動乗用型定植機 (KP-2SE)
追肥・土入れ・雑草対策
●追肥は、1月中下旬に1回目、2月下旬~3月上旬に2回目を行います(地域や土質等により
異なります)。
●追肥後は、低温と乾燥からの根の保護、除草、肥効促進のため土入れを行います。
●雑草の発生が見られる場合は除草剤を活用します。
●除草はなるべく発生初期におこないます。熟畑化しているところは、雑草の発生は少ないですが、タマネギを初めて作るところで有機・特別栽培をめざす場合は、とくに抑草対策が重要となります。
●3月の除草と同時に追肥を行うこともできます。
キューホー除草機用サンソワー
防除
●苗からの持ち込みがないよう、苗床での防除を徹底します。
●本圃の薬剤防除は予防を重点に実施します。
●大規模栽培でブームスプレーヤを利用する場合は、機械に合わせて畦幅を決めます。
●登録農薬は少ないですが、べと病対策として、濃厚少量散布のマルチローターを使用する事例もあります。
乗用管理機+ブ-ムスプレ-ヤ
収穫・調製
●極早生種は、肥大した球から順次収穫します。
●早生・中晩生種は、茎葉が7~8割程度倒伏が見られはじめたら収穫します。
●品種によっては、収穫時期の遅れにより品質が低下する恐れがあるので、適期収穫に努めます。
左上 :収穫機(OH-3MSR) / 右下 :タマネギピッカー(KOP-1000)
左上 :タマネギディガー / 右下 :オニオンハーベスタ
タマネギピッカー+コンベア+追従型運搬車
タマネギ調整機