コマツナ栽培の作業体系
作付け計画
●コマツナは周年栽培できるため、圃場準備の前に年間の作付け計画を考えます。
●施設栽培のコマツナは、最大で1年間に8回程度作付けできます。
●土壌管理などに時間を割くことができるように、年間5~6回程度の作付けだと、余裕を持った栽培ができます。
●5~9月まきでは、播種してから21~24日程度で収穫ができますが、秋冬まきではその2~4倍の日数が必要になります。
●秋冬作の収量は2t/10a程度が期待できますが、夏場ではその半分程度となることや、夏場の収穫適期は2~3日程度と短く、冷涼になるにしたがって適期が長くなります。
品種の選択
●季節に応じた品種を選択して、組み合わせます
●品種選択のポイントは、葉の形や色、生育日数、収量性、収穫しやすさ(草姿の立ち性など)、ひげ根の量、食味、荷姿など多岐にわたります。
●栽培時期や露地または施設の別、求める品質なども考慮して、品種を選びます。
●秋冬作に「わかみ」、「なかまち」や、「夏楽天」などが、夏作では「いなむら」、「まさみ」、「浜ちゃん」などが利用されています。
圃場準備
●土壌pH6~6.5を目標に、石灰資材などで土壌改良を行います。
●土壌病害が懸念される場合は、ダゾメット剤などで土壌消毒を行います。
●施肥は全量元肥で、施設の場合、窒素成分量で5~8kg/10a、露地の場合はその倍程度となるように、化成肥料等を施用します。
●施設では、圃場の保水性にもよりますが、7日前までにたっぷりかん水してから耕起しておきます。
播種
●栽植密度は、畝間15cm、株間5cm程度となるよう、播種機(クリーンシーダなど)を調整します。
播種機での播種作業
●コマツナ生産では、生育を揃えることが重要であり、かん水ムラは大敵です。
●かん水チューブなどで均一にかん水します。
かん水ムラによる不揃い
温度管理
●都内では通常、施設栽培でも暖房は行いません。
●生育適温は15~30℃といわれますが、夏場の施設栽培では換気に十分配慮して、軟弱徒長にならないよう注意します。
●冬の施設栽培でも極端に保温せず、暖かい日中は換気を行って、露地栽培に見劣りしない、葉柄のしっかりしたコマツナをめざします。
防除
●害虫ではアブラムシのほか、ヨトウ、コナガなどチョウ目害虫、ハモグリバエ類、アザミウマ類、キスジノミハムシなどの対策が必要です。
●東京都で開発したIPMハウスは、UVカット被覆資材と防虫ネットを組み合わせたものであり、これらの害虫対策に大きな効果があります。
●病気は、白さび病、萎黄病、苗立枯病、根こぶ病(写真右)などがあります。
収穫・調製
●草丈24~28cm程度が収穫適期です。
●圃場で抜き取りながら、400~500g程度の平束に結束します。
●子葉や最初の本葉1~2枚を除去し、根つきのまま株元を揃えてテープで結束します。
結束状況
●結束には、テープのロールを収納できる台が自作されて使われています。
●他には、テープを切る刃物と椅子が必須です。
結束道具一式
●ステンレス製のカゴに並べ、調製作業場へ移したら、ただちに根と株元の土を洗浄し、保冷庫にいれて鮮度を保ち、出荷します。
●落としやすい土質であれば、カゴに入れたまま洗浄することもあります。
ステンレス製のカゴと洗浄作業
●2人で結束するとして、1日あたり250~300束を出荷できます。
●年平均単価100円/束でも、年間230日出荷すれば、およそ600万円の売り上げとなります。
吉村 聡志
東京都中央農業改良普及センター東部分室
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