提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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野菜・果樹

ブロッコリーの栽培体系

(2019年3月改訂) 

経営的な視点

●ブロッコリーは健康野菜としてニーズが高く、加工・業務用の消費も増加しており、需要が堅調な品目です。

作型

●北海道、東北、北陸高原地帯は、春から初夏植えで夏秋収穫。
●西南暖地、関東から九州は、秋植えで、秋から春まで収穫。

圃場準備

●ブロッコリーは過湿に弱いので、排水が良い圃場を選ぶことが必要です。
●とくに、根こぶ病は排水不良圃場で多発する傾向があることから、排水対策が、より重要となります。
●排水が悪い圃場で栽培を行う場合は、圃場周辺に排水溝(明渠)を設置し、耕盤があれば、プラソイラ-、サブソイラ-等で心土破砕します。
●畑利用の場合は、額縁明渠や傾斜均平を行います。
●水田利用の場合は、額縁明渠と耕盤破砕をし、高畦で栽培します。重粘土地帯では、カットドレーン(穿孔暗渠機)の使用が効果的です。

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サブソイラ 

●堆肥・石灰資材は定植1ヵ月前までに施用し、土壌のpHを6.0~6.5に調整します。
●草丈が高くなるため、風当たりが弱い圃場を選ぶか、防風対策として、圃場周囲にソルゴー等の播種を行います。

播種

●作型及び地域の気象条件等を考慮し、品種を選択します。
●10a当たりの種子量は、40~60ml程度です。128穴セルトレイに1穴1粒播種を行い、予備苗も含め10aで35~45トレイ準備します(早晩性及び草姿により栽植密度が異なります)。
●共同育苗などを行う場合は、セルトレイ用土入れ機+播種機を用いると、セルトレイへの土入れ、播種及び覆土が省力化できます。
●手作業の場合でもコート種子を使用することにより、播種機の使用が可能となり省力化が図れます。

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 :セルトレイ播種機(自動) /  :セルトレイ

定植準備

●排水が悪い圃場で栽培を行う場合は、高畦とします。
●移植機を利用する場合は、活着をよくするため、特に細かく砕土しておきます。全体に砕土率を上げる場合は、超砕土ロータリを使用します。その際、施肥機付き超砕土成畦ロータリを使用すると、施肥+砕土+成畦が一工程で行え、大幅な省力化が可能となります。
●下に大きな土塊、上に定植しやすい細かい土壌をめざす場合は、アップカットロータリを使用します。

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施肥機付き超砕土成畦ロータリ 

●また、全層施肥機等の散布幅を調整することで、畦内全層施肥が可能となり、全面全層施肥に比べ、施肥量が1~2割(※)削減できます。
実施の際は最寄りの指導機関(農業改良普及センター等)に相談ください。

●とくに大規模栽培では、乗用管理機で中耕・培土を行うと、大幅な省力・軽作業化が図れますが、50~55cm程度の条間(2条植の場合)が必要となるため、畦幅を130cm以上とし、畦はなるべく直線状に作ることが必要です。アシスト機能付きのトラクタを使用すると、熟練者でなくとも、容易に直進が可能です。

育苗管理 

●播種したセルトレイは、パイプや木などを下に敷き、地面との間に空間を作ります。
●育苗ハウスは風通りをよくし、高温期には育苗ハウス外部(上部)に遮光機能のある被覆資材等を使用するなどして、なるべく温度を下げることが必要です。
●西南暖地等はもっとも暑い時期となるため、熱線カットフィルム等を使用するとよいでしょう。
●かん水は早朝に行います。高温期は萎れることがないよう1~2回かん水を行いますが、夕方は表面がやや乾燥気味になるようにし、徒長しないように注意します。
●熱線カットフィルムを使用したハウスからそのまま定植すると活着が遅れるため、定植2~3日前には外に出し、暑さや紫外線に苗を慣れさせる(馴化)ようにします。

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熱線カットフィルムを用いた育苗ハウスの例

定植

●植え付ける苗は、育苗期間25~35日程度で、本葉2~3枚の若苗を定植します。育苗期間は時期により異なります。また、定植前には充分かん水(又はトレイごと水に浸ける)を行います。
●機械で植付けを行う場合は、根鉢が形成されていなかったり、草丈が大きすぎる場合は植付け精度が落ちるので注意します。
●半自動1条定植機(往復2条)又は半自動2条定植機を用い、セル苗の根鉢上部が見えなくなる程度の深さに植付けを行います。

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   :半自動1条移植機 / 中 :全自動1条移植機(SKP-101) /  :植え付けた苗 

●中耕・培土を乗用管理機で行う場合、条間が一定(50~55cm)であることが必要です。その場合は、半自動2条定植機を用いると、一定の条間で定植が可能です。

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  半自動2条移植機写真(KP-201) 

●定植後は、初期生育の良否が収量、品質を左右するので、なるべく早くかん水を行い、活着促進を図ることが重要です。
●大規模栽培では、かん水機能付きの移植機を使用する場合もあります。

追肥、中耕・培土

●定植後20日前後と花蕾出蕾時に追肥を行います(回数は作型により異なる)。その際、除草、倒伏防止及び肥効促進のため、中耕・培土も併せて行います。
●前装施肥機付き乗用管理機(3連カルチ)は、追肥+中耕・培土を1工程で行うことができ、大幅な省力・軽作業化が図れます。また、草丈が大きくなっても中央のカルチの本数を減らすことにより、ブロッコリーを傷つけることなく中耕・培土が行えます。

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   :前装施肥機付き乗用管理機(3連カルチ) /  :草丈が大きくなった場合の中耕・培土 

防除

●根こぶ病の発生が懸念される場合は、栽培ほ場を変更するか、植付け前の薬剤施用などの薬剤防除と共に、土壌酸度矯正などの耕種的対策を行う必要があります。
●水田利用において、転炉スラグを5t/10a入れることにより、半永久的にpHが高まり、根こぶ病を抑制できるというデータもあります(※)
●べと病及び軟腐病などの病害と、アオムシ及びヨトウ類などの害虫の防除を行います。
●薬剤散布時には農薬の飛散防止に努めるため飛散低減ノズルを使用します。

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   :ブームスプレーヤ通常ノズル /  :低減ノズル 

村上圭一ら 2004.転炉スラグによるブロッコリー根こぶ病の防除対策.日本土壌肥料学雑誌75巻1号p.53-58

収穫・調製

●花蕾の直径が12cm以上で締まっている株を、品温が上がらない早朝などに収穫します。
●収穫後も、品温が上がらないように直射日光下を避け、気温が暖かい時期は予冷施設などで冷蔵します。
●花蕾がゆるんでいたり、小花蕾が大きくなっている株は、輸送中に黄変しますので、注意が必要です。

後片付け

●収穫後のブロッコリーの茎葉は硬く、後片付けに労力を要します。専用ロータリ(砕断ロータリ)を使用すると作業性がよく、すき込みが楽にできます。

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ブロッコリー砕断ロータリ

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