食用菊栽培
品種と作型
●青森県における主力品種は、黄花の「阿房宮(あぼうきゅう)」で、収穫期は10月下旬から11月上旬です。
●収穫期が9月中旬からの「十五夜」、9月下旬からの「八戸菊2号」、10月下旬からの「八戸菊1号」もありますが、いずれも黄花です。
●一部に、紫花の「もってのほか」も栽培しています。
左上 :阿房宮(あぼうきゅう) / 右下 :紫花の「もってのほか」
苗の準備
●はじめて栽培する場合は、園芸店やネット販売等で苗木を購入します。
●親株を保有している場合は、6月中~下旬の、新芽が30cmに伸びた頃に、植付けの直前に根をつけたまま親株を掘り上げ、新芽に十分根がついたものを株分けして用います。
●挿し芽法もありますが、株分けが簡単です。苗は、1㎡当たり5~7本必要です。
挿し芽による増殖法は、以下のとおりです。
「親株の管理」
●挿し芽時期の20日位前に、親株の先端を摘芯し、側芽を出します。
「育苗床」
●用土には赤玉土か、川砂、鹿沼土などが適しています。
●畑の土を使用する場合は、30cm位掘り下げ、さらにその下の土を使います。
●育苗床は地床か、野菜用の育苗箱、セルトレイ(128穴)などを用意します。深さ6~7cm程度の育苗箱等が管理しやすいでしょう。
「挿し芽時期」
●定植の25~30日前(5月上旬~6月上旬)に挿し芽をします。
「挿し芽」
●挿し穂は、側芽の展開葉4~5枚位のもの(5~6cm)で、ポキリと手で折れるところから折ります。
●下の葉は、1~2枚切り、茎の切り口は切り戻します。これを1~2時間水に入れ、水揚げしておきます。
●6cmの間隔で、箸等で土に穴を開け、挿し穂を2cm位の深さに入れて、土寄せして軽くおさえます。
「挿し芽後の温度管理」
●15~20℃の温度を確保するため、トンネルかハウス内で管理します。
●挿し穂が終わり次第、十分にかん水し、寒冷紗等で被覆(遮光率70~80%)します。朝夕の光の弱い時は被覆を除き、できるだけ光に当てましょう。
●7~10日で発根し始めるので、徐々に光に当てて健苗育成に努めます。
●発根するまでは、乾燥しないように気を付けます。
●25℃以上の高温多湿は、腐敗の原因となるので注意します。
圃場準備
「排水性改良」(機械:トラクタ、サブソイラ、プラソイラ等)
●湿地、粘質土、砂土や連作を避けます。排水良好で、有機質に富んだ圃場が良いでしょう。
●耕盤がある圃場では、サブソイラやプラソイラ等で耕盤破砕します。
左上 :トラクタ+プラソイラ / 右下 :トラクタ+サブソイラ
「土壌改良・砕土」(機械:トラクタ、マニュアスプレッダ、ブロードキャスタ、ロータリ等)
●完熟堆肥を10a当たり2t施用し、土壌の物理性を良くします。
●土壌pHは6.0になるように石灰類で矯正し(10a当たり100kg程度)、深耕して土の改良を図ります。基肥は定植10日位前に施し、十分になじませておきます。
施肥
(機械:トラクタ、ブロードキャスタ、管理機)
●10a当たり成分量で、窒素15~20kg、リン酸20~25kg、カリ15~30kgとします。
●加工用菊の場合は、窒素、カリの半量を8月上旬、9月上旬の2回に分けて施します。
●早生種を利用した生花(料理菊)栽培の場合は、7月中旬、8月下旬の2回に分けて施します。
ブロードキャスタ
定植
「定植時期」
●株分け苗 :5月下旬~6月上旬
●挿し芽苗 :6月上旬~6月下旬
「定植方法」
●病害虫に冒されていない生育良好な苗を準備し、溝を切り定植します。
●株分け苗の場合は、枝先を10~12cm(本葉5~6枚)出して、船底に寝かせて植え、その上に5~6cmの厚さに覆土します。
●挿し芽苗の場合は、30日位育苗した若苗を直立植えか、斜め植えにします。
「栽植距離」
●畝幅は75~90cm、株間は20~30cmで、1株1~2本植えとします。
定植後の管理
「支柱立て・結束」
●支柱の長さは地上120cm位とし、7月中旬頃に1回目の結束として、支柱1本当たり2~3株を縛ります。
●2回目の結束は8月下旬頃に行います。
支柱と結束
「追肥・中耕・土寄せ」
●1回目の追肥は、加工用菊の場合は8月上旬、早生種の生花用菊の場合は7月中旬に行い、浅く中耕して、株元に土寄せを行います。
●2回目の追肥は、加工用菊の場合は9月上旬、早生種の生花用菊の場合は8月下旬に株元に施用します。
「整枝」
●整枝は基本的には行いませんが、揃いの良い大きな花を収穫したい時には、有効な方法です。
●7月中旬頃に、主枝と側枝1本残して2本立てにします。
●仕立て後の整枝は、結束した位置からはみ出した下の側枝を整理する程度にします。
整枝の仕方
「除草」
●手取り除草を随時行います。