ゴボウ栽培の作業体系
圃場準備
●湿害にきわめて弱く、2日湛水すると直根が腐敗します。
●排水の良い畑を選びます。排水不良畑では地表排水と地下排水対策を行います。
左上 :溝切機(地表排水) / 右下 :サブソイラ(地下排水)
●完熟した堆肥は、播種する1カ月前までに1~1.5t/10a施用します。
●土壌pH6.5~7.0になるように、苦土石灰などで調整します。
●有効態リン酸30~50mg/100gを目標に改良します。
●連作をすると、やけ症等の肌の黒変症状がでやすくなるので、輪作をして、2年以上ゴボウを栽培していない畑に作付けすることが基本となります。
やけ症のゴボウ
●やむを得ず連作する場合や、やけ症が発生しやすい畑では、クロルピクリンくん蒸剤で土壌消毒をします。線虫被害が発生する畑では、殺線虫剤を処理(かん注、または粒剤散布)します。
土壌消毒機
※なお、熊本県の水田ごぼうは水稲との二毛作による輪作で、ゴボウの土壌消毒は実施していません。
土壌改良資材・基肥施用、播種準備
(使用機械:ブロードキャスタ、トレンチャーなど)
●土壌改良資材と基肥は、全面全層散布あるいは半量は全面施用、残りの半量は植え溝に施用し、トレンチャー耕を行います。
●施肥は遅くとも播種10日前までに終えます。
●耕起するときは表層の砕土を十分にし、発芽を安定させます。
左上 :ロータリ式トレンチャー / 右下 :チェーン式トレンチャー
播種
■ゴボウの一般的な作型
●トレンチャー耕はうね幅75cmで十分ですが、ながいも用トレンチャーのある現地では100~110cm幅となっています。溝の深さは100~110cm、溝幅は15~20cmです。
●クロルピクリンなどで土壌消毒をした場合は、地表面をポリエチレンフィルム等で必ず被覆します。除覆後は、10日以上経過してから、薬剤の残臭がないことを確認して播種します。
●5~6cm間隔で封入されたシードテープを利用し、間引きを省略します。シードテープは必要な距離分(うね長)を準備します。
●好光性種子のため土壌水分がある時は、覆土は深さ1~2cmとし、深植えしません。乾燥の心配がある時は覆土を2~3cmとし、ていねいに鎮圧します。
●施肥と播種を一行程で行う機械もあります。
左上 :シードテープ播種作業 / 右下 :手押し式ごんべえ(テープシーダー播種)
左上 :ハッスル整形ロータリ+テープシーダー / 右下 :肥料散布+耕起+播種同時作業
●播種後、直ちに除草剤を散布します。
●薬害を防止するため、砂壌土では薬量を減らします。
●除草剤は均一に散布します。
追肥・中耕
●3~4葉時と8~9葉時の2回追肥を行います。
●株元への追肥は岐根の原因となるため、離して行います。
●中耕は追肥と並行して2~3回行い、除草も兼ねます。
左上 :ロータリーカルチ / 右下 :カルチ
防除
●黒斑細菌病、黒条病、アブラムシ類等を防除します。
●初発を見逃さず適期に防除します。
左上 :ブームスプレーヤ / 右下 :ハイクリブーム
左上 :ラジコン動噴 / 右下 :セット動噴
●黒斑細菌病と黒条病は、茎葉の被害症状が似ていますが、防除薬剤が異なるため、もよりの農業改良普及センターや農協などにお問い合わせください。
左 :黒斑細菌病 (提供:梶原敏宏氏)
右 :黒条病 (提供:地方独立行政法人青森県産業技術センター野菜研究所)
収穫・調製
●専用の機械で茎葉を借り払い、ごぼうハーベスタなどで収穫します。
野菜茎葉刈払機 (左から 野菜茎葉処理機、フレールモア、ハンマーナイフモア)
左上、中中 :ごぼうハーベスタ / 右下 :ごぼうリフター
左上 :運搬車 / 右下 :高床式多目的農用運搬車"はこ坊や"
●主力品種「柳川理想」は生育日数150~160日程度で根長75cm、根径3cm程度となります。
●ゴボウは長期間にわたり収穫されますが、ス入りや割れがなく、軟らかく、アクの少ないうちに収穫します。
●収穫は葉柄を5cm位残して茎葉を刈り払い(出荷規格は葉柄5~10mm)、収穫します。
●収穫したゴボウは、乾かさないように収納、保管します。
●農作業の関係で春に収穫する場合は、新葉が出る前に掘り取りを完了します。
●土付きまたは洗い出荷に応じて、調製し、太さを揃えて箱詰め・出荷します。
●長期貯蔵施設では低酸素、高二酸化炭素となりやすいため注意します。
左上 :ごぼう調製機(ごぼうアジャスタ)/ 中中 :連続ゴボウ自動根切機 / 右下 :ゴボウ根切り機
左上 :ゴボウ水圧洗浄機 / 右下 :ごぼう洗浄機