ニンジン栽培の作業体系
圃場準備(作付の1か月前までに)
●堆きゅう肥は、播種する1~2カ月前までに2~3t/10a施用します。土がしまりやすい粘質土や水田裏作畑では、堆きゅう肥を積極的に施用します。
●マリーゴールドを作付けすると、ネグサレセンチュウ防除と有機物の補給ができます。播種2カ月前までに鋤込みます。
マリーゴールド
●耕盤があれば、プラソイラ、サブソイラで心土破砕をします。
●土塊の多いゴロ土では発芽が不安定になります。粘質土では何度も耕耘して、砕土しておきます。耕うん爪の多い超砕土ロータリを使うと、工程の短縮ができます。耕深は五寸ニンジンで20cm、金時ニンジンで35cmとします。
●一定の深さで播種し、しっかり鎮圧できるように、ロータリの後ろに鎮圧ローラを装着して、耕耘と同時に鎮圧をします。
●土壌pH5.5~6.5になるように、苦土石灰などで調整します。pH5.3以下では生育不良になります。
左から上から プラソイラ / サブソイラ / パラソイラ
左から上から 超砕土ロータリ / マルチスプレッダー
基肥施用、播種準備
●播種1週間前までに基肥を施用します。
●トンネル栽培など低温期の作型ではリン酸肥料を多めに施用します(成分量で30kg/10a程度)。
左から上から ブロードキャスター / グランドソワー
播種
●夏まき栽培では播種期が重要です。関東地域では年内どりは7月25日~8月10日、越冬どりでは8月11日~15日が播種適期です。
●土壌水分が少ない場合は、播種前に20~30mm灌水します。
●畦幅75~80cm、2条で条間15~18cm、コート種子を深さ1~2cm1カ所1粒播種します。
●各種播種機を使用します。
●トンネル栽培ではマルチ栽培もおこなわれます。
左から上からシーダーマルチ トラクタ仕様 / シーダーマルチ テーラー仕様 / 一発耕起播種機(播種、施肥、施薬)
トンネル栽培
●施肥は全量基肥とします。
●マルチをすると、肥大、肌、着色が良好になります。透明または黒ポリフィルムを使用します。(フィルムの規格は3812(幅135cm、8条、株間12cm)など)
●耕起・うね成形・マルチ・播種を一行程で行う機械もあります。
●10~11月まきは、小孔の開いたフィルムを使用すると斑点細菌病の発生を抑制できます。
左 :トンネルマルチ支柱打込機 うち丸 / 右 :パイプ支柱用穴あけ機(SA-240H2)
●トンネル内が30℃を超えるようになったら、換気(穴換気)をします。
トンネル換気(穴換気)
1月下旬から2月前半、トンネル内最高気温が25℃程度になるよう管理をすると、抽だいを抑制し、根の肥大が早まります。25℃を大きく超える管理をすると、抽だいは抑えられますが、根の肥大も遅れます。25℃を下回る管理をすると肥大が遅れ、とくに20℃以下の管理では、明らかに抽だいが早まり、根の肥大が遅れます。
そのため、以下のような管理が行われています(徳島県の事例)。
①間口2.4m、高さ1.1mのトンネルを活用
②穴あけ換気とし、直径12cmの簡易穴あけ器を使う
③トンネル内の最高気温が25℃になる換気量は、トンネル表面積に対する換気口面積孔面積が0.5~1.5%と幅が広いので注意する
④1%の換気穴面積率は、トンネル10mに換気穴が26個となる
間引き
●大目に種をまいた場合、本葉4~5葉期に病害虫に侵された株や生育不良株を間引いて、1本立ちにします。
●夏まき栽培の最終株間は6~9cmとし、早く収穫するほど広くします。
ニンジンの間引き作業
中耕・培土
●本葉5~6枚で追肥し、除草・排水対策、青首防止のために通路を中耕・培土し、株元まで土寄せをします。
土寄せ
●越冬どりをする場合は、防寒のために、12月に根部の上に5cm以上土を盛り上げます。
左から上から 中耕ローター / ロータリーカルチ
収穫・調製
●根径5cmほどで尻部が詰まってきたら、ハーベスタ等を使って収穫を始めます。
収穫機 左からコンテナ仕様(CH-1240CMV)、フレコン仕様(CH-1200FVM、CH-400F)
●収穫→根切り・葉切り→洗浄→水切り→選別→箱詰め→出荷と作業を進めます。
流通中の腐敗を防ぐために、洗浄後は十分に水を切ります。
●高温期には、収穫後根部を長時間直射日光にさらさないようにします。予冷をして出荷します。
洗浄機(左からHDUW 150-8F、NK-412)
全自動にんじん選別機「キャロッタ」(左からcs200、cs400)