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飼料作・畜産

飼料用収穫機の特徴

 飼料用イネ専用の収穫機には、自脱コンバインをベースにした自走式カッテイングロールベーラと、収穫や収草の部分がフレールタイプのロールベーラがあります。いずれも自走式で、収穫して直ちに梱包できるロールベーラを搭載しています。ベールした稲を、密封のためにフィルムでラッピングする自走式ラッピングマシーン(ラッパ)とセットで作業します。飼料イネ専用の収穫機を使うことで、重粘土壌などの軟弱な水田であっても、作業ができます。


 自走式カッテイングロールベーラでは、調製途中で細断(3cm)できる新しいタイプが開発されました。このタイプで調製されたロールは、開封後の取り扱いが格段に改善されています。
 フレールタイプのロールベーラは、収穫時に籾に傷がつきやすく、飼料イネばかりでなくソルガム収穫、予乾した稲わらの拾い上げと梱包にも利用できます。

 両タイプともに、作業時間はおよそ20~30分/10aです。水田圃場の状態や飼料イネの収量によっても異なりますので、作業計画の目安にしてください。


  
コンバイン型専用収穫機


実際に稲発酵粗飼料を利用している肉用牛農家の感想は、以下の通りです。

●水田の基盤整備が済んで落水後の地耐力が高いので、牧草用の収穫調製機械を利用して予乾体系の作業を行っている。
(排水がよくて地耐力が優れた水田で牧草用の収穫機を利用すると、新しい機械を購入することなく、低コストで稲発酵粗飼料を生産することができる。)

●牧草用収穫調製機械を利用した予乾体系で作業を行っているが、湿田が多いため、専用収穫機を導入して収穫調製作業を弾力化したい。
●細断装置のついた自走式カッティングロールベーラを導入したら、給与作業が大幅に改善された。
●旧型の専用収穫機から、細断できる新型機種に変えたところ、残食が少なく給与作業が向上している。

 
 最近、トウモロコシサイレージ用の細断型ロールベーラを汎用利用できるよう、大幅に改良した汎用型飼料収穫機が開発されました。
 トウモロコシはもちろん、刈り取り部を取り替えることによって、刈り落とした予乾牧草の収草や、飼料イネの収穫も可能です。走行部は軟弱な水田にも適するクローラ式です。高価なため、集団で作業する場合やコントラクター組織等で、今後利用が進むと思われます。


汎用型飼料収穫機


フレール型収穫機による飼料イネ収穫時の注意点については、こちらをご覧ください。


執筆者
小川 増弘
(財)日本農業研究所 実験農場長




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