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飼料作・畜産

飼料イネで良質のサイレージを調製する方法

 飼料用イネには、乳酸発酵に必要な糖分が少ない、付着している乳酸菌の数が少ない、それに梱包密度が低い(かさばっている)などの特徴があり、良質なサイレージを作りにくいといわれますが、正しく対応すれば、良質なサイレージを作れます。


 まず、刈り取り適期を守ることです。特に、予乾しない場合は、水分が高くて品質が悪くなりがちな早刈りをしないようにします。
 また、ラップフィルムに硬い稲の茎があたってフィルムが破損し、そこからピンホールができることがあります。ピンホールからの空気の侵入によって、カビが発生しやすいため、ラップフィルムは6回巻きにします。
 収穫機の種類によって発酵品質に差異がみられるようですが、サイレージの品質を確実に高めるために、専用乳酸菌製剤が市販されています。乳酸菌や尿素を添加することで、1年間貯蔵したサイレージの品質が優れていたという報告があります(表1)。


表1 貯蔵1年後の稲発酵粗飼料の発酵品質

収穫機はコンバインタイプの専用機
畜草1号(乳酸菌)は所定量添加、
尿素は新鮮物当たり1%添加、
アンモニア態窒素は新鮮物当たり%
(『平成17年度革新的農業技術習得研修資料(蔡)』より)


 保存中の監視も重要です。カラスやネズミの食害(フィルムに穴を開ける)により、サイレージの品質が低下する恐れがあります。場合によっては、全量を廃棄せざるを得ないこともあります。被害を防ぐためには、ネットを掛ける、隙間が生じるように離して設置する、などが有効です。
 いずれにしても、保存中にフィルムの破損がないか、定期的な点検が必要です。

執筆者
小川 増弘
(財)日本農業研究所 実験農場長




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