飼料イネの収穫適期
そのため、収穫調製が予乾しない体系(ダイレクトカット体系)では特に、収穫期を早くすることには注意が必要です。
予乾してからサイレージ調製する体系(予乾体系)では、少し早い収穫でも水分を低下できることから、適期は糊熟期~黄熟期となります。
一方、収穫が遅れると収量は多くなりますが、籾が固くなりすぎます。
そのため、収穫調製の段階で脱粒する量が多くなったり、給与した籾が未消化のまま、糞中に排泄されてしまいます(下図)。

稲の熟期と籾の排出率
できるだけ適期を守って収穫することが肝要です。
表1 飼料イネの熟期の判定方法

稲発酵粗飼料 生産・給与技術マニュアルより
飼料イネを収穫したサイレージを、「稲発酵粗飼料」や「飼料イネのホールクロップサイレージ」といいます。後者を略して、イネWCSと書く資料もあります。いずれも、飼料イネをサイレージにしたものです。
刈り取り期別の稲発酵粗飼料の飼料成分は、熟期が進むと、粗蛋白質は低下、繊維※1は低下、NFE※2は増加の傾向がみられます。
※1
NDF :中性洗剤に不溶の繊維で主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンからなる
ADF :酸性洗剤に不溶な繊維で主にセルロースとリグニンからなる
※2 でんぷんなどの可溶成分
また、実際に牛を使って消化試験をした結果から、稲発酵粗飼料の栄養価(乾物当たりTDN含量)は、53~58%であることがわかってきました。
表2 稲発酵粗飼料の飼料成分

平成17年度革新的農業技術習得研修資料(塩谷)より
表3 稲発酵粗飼料の栄養価(実測値) 乾物%

平成17年度革新的農業技術習得研修資料(塩谷)より
執筆者
小川 増弘
(財)日本農業研究所 実験農場長
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