ワラビの栽培
系統と生育環境
●ワラビはウラボシ科(類)に属する多年生のシダ植物で、世界各地に分布し日本国内でも全国に生息しています。
●系統(野菜類の品種に相当)は、アオワラビ系、ムラサキワラビ系、その中間系に分類されますが、他品目に比べ明確な基準はありません。
●生育の適地は、日当たりがよく、排水性に優れた肥沃な酸性土壌(pH5.0~5.5)です。転作田で栽培する場合は、必ず堆肥等有機物の施用や明渠等の排水対策を行い、可能であれば耕盤破砕(サブソイラー等)も行っておくとよいでしょう。
左上 :転作田で萌芽したワラビの可食部
右下 :ワラビの株養成(夏期)
栽培のための根茎の準備と植付け
●自生地からの根茎の掘採りは、地上部(ホダ)が枯れてデンプン(糖類)や他養分が根茎に転流した後に行います(北東北では11月上~中旬)。
●掘取りの時点で、根茎には既に新芽(若芽)が形成されており、翌年春の日平均気温が10~13℃になると萌芽し、積算気温240℃前後で収穫開始となります。
●根茎は、長さ20~25cm中に新芽が4~5つ以上あるものを使用します(新芽数がそれ以下だと翌春の萌芽数が極端に少ない)。
●根茎量は200kg/10a、植付深15cm、植付幅15cmです。
●植付時の畦幅は基本的に100cmですが、広畦(300cm)にすると栽培1年目に限り通路の機械除草(管理機・ロータリ耕)が可能です(2年目以降は地上部繁茂により不可)。
●根茎は乾燥に極めて弱いので、掘採り後速やかに植付けします。
左上 :堀取ったワラビの根茎 / 右下 :根茎を植え付ける畦
・新特産シリーズ ワラビ 早期成園化と多収栽培の実際 (農文協)
・楽しく作ろう いわての恵み (岩手県農業改良普及会)
執筆者
佐藤 喬
岩手県中央農業改良普及センター西和賀サブセンター
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