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2010年6月24日
コレマンアブラバチ「少量・連続放飼」のススメ
山中 聡
アブラムシ類の天敵には多くの種類がありますが、中でもよく知られているのはテントウムシです。その他にも、ハナアブ、ショクガタマバエ、クサカゲロウ、アブラバチ、アブラコバチ等があります。
何種類かの天敵殺虫剤として市販されていますが、私達はコレマンアブラバチ(アフィパール)とショクガタマバエ(アフィデント)を販売しています。
コレマンアブラバチは、アブラムシの体内に産卵します。孵化したコレマンアブラバチの幼虫が、アブラムシ(宿主)の栄養成分を食べたあと、アブラムシを殺します。幼虫が羽化する時にアブラムシの外皮が変色するので、寄生しているかどうかを見分けることができます。この蛹をマミーと呼びます。
以前バンカー法を紹介したことがあります。前もってオオムギの葉などで増やしたムギクビレアブラムシを使って、寄生蜂を増やす方法です。有効な手段ではありますが、生産現場ではバンカー植物の準備がむずかしい場合もあります。そのため、私達はアブラムシ発生の直前から、少量のコレマンアブラバチ(アフィパール)を連続放飼するという方法の効果を調べてきました。
右 :コレマンアブラバチ
これまでは、アブラムシの発生が見られてから10a当たり1,000頭のコレマンアブラバチを放飼する方法で効果がありました。しかし、アブラムシの増殖速度がコレマンアブラバチ1,000頭(実際には半量の雌成虫による)の寄生率を上回り、5~7日間隔で複数回の放飼が必要でした。
そこでバンカー法が注目されたわけです。これに対し、少量・連続放飼は1回につき10a当たり250~500頭の放飼をアブラムシの発生直前から2週間間隔で放飼していく方法です。これを2カ月くらい続けたとしても、10a当り1,000頭の複数回放飼より少なくてすみ、またバンカー植物を用意する手間も省けます。
欧州での放飼の目安(オランダのコパート社)は次のようになっています。
(1)予防的な利用 : 250頭/10a ・7日間隔で
(2)軽度な加害への対応 : 1000頭 ・7日間隔の少なくとも3回放飼
(3)重度な加害への対応 : 2000頭 ・7日間隔の少なくとも6回放飼
いろいろな天敵を利用していると、圃場の観察が身についてきます。観察が日課になってくると、アブラムシの発生も含め、いろいろな病害虫の動きがわかるようになります。観察眼が養われたら、アフィパールの少量・連続放飼という方法を試してみたら、いかがでしょうか。
ただし現在、アフィパールの農薬登録上での放飼量は、「2瓶(1000頭)/10a」となっています。今後は少ない放飼量での登録も取る予定です。
東京生まれ、横浜育ち。農学博士。
農薬メーカー研究所にて各種生物農薬の研究開発に従事。
現在、アリスタライフサイエンス(株) IPM推進本部 開発部長