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2009年4月28日
スーパー・外食などの動き
農産物流通・ITコンサルタント 山本謙治
同じような話を、業界上位のスーパーのバイヤーさんからも聞いたことがある(←具体名は出せないのでゴメンナサイ)。
「我々はそう遠くないうちに、景気が回復すると思っている。その時、今以上に食べ物に対する意識が高くなる、と見込んでいます。だから、我々は今から、ニーズに答えられる産地を囲い込もうとしているんです。」
なんともすごい話である。スーパーにおいて生鮮食品、とくに青果物は、利益率の低い部門だ。しかし、その日用品である青果物に元気のないスーパーは、競争力が低くなる。そして今後、景気回復とともに、その重要性がもっと増してくるという話なのである。
高度経済成長の終焉から今まで、農産物の価値・価格はどんどん引き下げられてきた。しかし、昔は生産者・メーカーなどの売手が強い時代もあった。その時代は、白もの家電やマイカー、マイホームなどを「手に入れることが幸せ」という、物的欲求の時代だったからだ。
しかし、バブル崩壊後、日本の消費志向は大きく変わり、どこにでもあるモノの価値は大いに下がった。日常的に食べられる青果物や米などの価値がどんどん下がったのは、グッチやプラダのバッグと違い、「どこにでもある」からだ。平成以降、日本は買手優位の国になった。それは、この国にモノがあふれたからだ。
それでは農産物が「どこにでもある」ものでなくなったらどうなるだろう? また、生産者が強い時代がやってくるのだろうか。残念ながら、日本社会は情報化の波に、もまれすぎている。物的欲求の時代に逆戻りするわけではないので、「強くなる」とまでは、いかないだろう。
けれども、売手と買手のパワーバランスが均衡するくらいの構造変化は、期待できるかもしれない。そうしていかなければならない。
僕は、ここ5年くらいの間が、日本の国民が食べ物に対する価値観を変えていくチャンスだと思っている。では、その間に何をなすべきなのか。(つづく)
株式会社グッドテーブルズ代表取締役・農産物流通コンサルタント。
一次産品の商品開発のアドバイザーをする傍ら、全国の郷土食を食べ歩いている。「週刊フライデー」、「きょうの料理」、「やさい畑」などに連載を持ち、著書に「激安食品の落とし穴」(KADOKAWA)「日本の食は安すぎる」(講談社)、「実践農産物トレーサビリティ」(誠文堂新光社)などがある。ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」も人気が高い。