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2012年9月14日
生きることは食べること
山田早織
生きているということは、食べるということ。身をもってそれを知りました。
8月はじめの夜、私が仕事で支援している方が亡くなった、と一本の電話が入りました。
信じられない、何も考えられない状態で、一晩ほとんど眠れずに過ごしました。
明け方に、今日は長い一日になりそうだなと思い、ふだんは食べないカップ焼そば(夫が買って隠して? あったものをあさった)をガツガツと食べました。胃が気持ち悪くなったけど、そのくらい「食べなきゃ!」という意識が働いたような気がします。とにかく身体と頭を動かすために食べた、という感じです。
いつもどおり日は過ぎていったけれど、自分の状態が悪くなっていきました。眠れなかったり、食欲が落ちたり、味を感じない、といった症状が出ました。精神的にもつらく、周りに当り散らしたりもしました。
そんな中、私を救ってくれたのは、やはり食べ物でした。
もちろんいろいろな人の存在に助けてもらいました。でも、「食べること」が良い精神状態を保つバロメーターでもあった気がします。
あまり食べたくない時期があった。「こんな時になんでご飯を食べられるんだろ・・・」と思い、おいしいものを「おいしい」と感じることをいけないことのように思ったこともありました。そんなことを繰り返しながら回復し、少しずつ食べられるようになり、今はちゃんとご飯を食べています。
今回、畑で野菜の世話をしていると、気持ちがとても安定したのを覚えています。
無心に草を取っているとき。収穫できる野菜を見つけたときの喜び。
夜眠っているときでさえ無心になれずに寝不足気味だったのに、草取りの間にある、頭の中がからっぽになっている瞬間。
精神科の先生が農業をすすめるわけが、ちょっとだけわかった気がします。
生きているということは、食べるということ。おいしいと感じることは「生きていること」の証しなのかな。
みんな誰かとの別れを経験し、それでも食べて生きている。
だから、大切に食べていこう。
静岡県浜松市出身。フランス料理店に勤務後、23歳で起業した(有)しあわせ家族代表取締役、園芸福祉士。培養土、花苗・野菜苗の販売のほか、庭づくりや商店のディスプレー、野菜の宅配など、関心とニーズのある分野に事業とボランティアを展開中。