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青虫の足あと【36】

2010年6月29日

背に腹は変えられん。兼子さん、ごめんね

    山田早織


私はたいてい近所のスーパーへ買い物に行く。
本当はいろいろなスーパーへ行くのが好きだし、新しいところへ行くとかなりワクワクしてしまう。

でも子どもを抱っこしながらの買い物は、近くてそこそこの大きさで、行きなれた場所がいい。どこに何が置いてあるか、どんな品揃えかわかっているから迷うこともなく、時間も消費労力も少なくてすむ。


どこのスーパーも、入ってすぐに「地元の農家の野菜」というコーナーがあり、たいていミザル(これは共通語かしら?「み」とも言うよね)に入った地元の農家さんの野菜が並んでいる。
あ、もうズッキーニが出ているんだ。早いな~。ナスもあるし、トマトもある。子どもの離乳食にラタトゥイユでもつくろうかな」・・・とズッキーニを取る。
「あ、こっちの農家さんもズッキーニ出してるじゃん。あれ? 兼子さん(知り合い)だ。うっっ!! こっちの人は100円なのに、兼子さん、、、なんで198円なの? しかもかなり小さくて・・・何が違うんだろう・・・」
高いな~と思いつつ、知り合いだし、兼子さんのズッキーニをかごに入れる。


その先は、スーパーが仕入れた野菜コーナーがお出迎え。
はっっ! またズッキーニがある。
しかも大きさといい、重さといい、ちょうどいい感じ。
何がちょうどいいかは自分でもよくわからないけど、お値段も158円と微妙。
明らかに兼子さんのズッキーニより大きく、色つやもよい。そして安い。
急に兼子さんのがすごく高いもののように感じてくる。

ううう・・・なんでこんなに差があるんだ。
情としては兼子さんのを買ってあげたい。でも、お財布はスーパー仕入れの価格に魅力を感じている。せめて大きさが逆なら迷わないのに。
散々悩んだ挙句、兼子さん、ごめんなさい、、、(涙)返却。


私は地場のものを使おうと心がけている。
野菜は特にそう思っている。
でも、今回のようにお財布と相談して、負けてしまうこともある。
高いものを買いたくないのではない。
価格に見合った理由がほしいのだ。(その金額を使うためのいいわけっていうか。。。)
たとえば農薬散布の回数や有機栽培など。
農家さんが目の前で品を並べていたりして、挨拶などされたらそれも理由になる。
付加価値のつけ方っていろいろだと思うけど、、、
値段の理由がわからないと悩んでしまう。


実は、スーパーに行くたびに矛盾を感じている。
地元農家の野菜は、たいていスーパー仕入れの野菜より高いのだ。
スーパー仕入れの野菜の中に地元農家のものもある。顔写真まで付いている。
でも価格は他のものと大差ない(多少高いくらいで)。

地元のものを使いたい。
でも、安くていいものがすぐ横に並んでいると、迷ってしまう。
ごめんね、兼子さん。


スーパーの方、その辺、なんとかなりませんか。
農家任せの価格付けも大切だけど、売れるため、売るための提案もしてくれたらもっといいと思うのにな。
この野菜、余ったらどうするんだろう・・・

全部が同じ価格なのもおかしいし、それは求めていないけど、せめて土俵に上がれるくらいの価格帯を設定してほしいな。

買い物をするのもなかなか大変です。

(ちなみに・・・もう一本のズッキーニが一番安かったのに買わなかった理由は・・
明らかに大きくなりすぎたものだから・・・でした)

やまだ さおり

静岡県浜松市出身。フランス料理店に勤務後、23歳で起業した(有)しあわせ家族代表取締役、園芸福祉士。培養土、花苗・野菜苗の販売のほか、庭づくりや商店のディスプレー、野菜の宅配など、関心とニーズのある分野に事業とボランティアを展開中。

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