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2007年12月20日
農業機械の得意技
津賀 幸之介
農業における機械化は、作業能率をあげることによって労働時間を短縮し、労働費を節減することができ、現在では、機械化無しには農業は存在できなくなっています。これまで機械化がなされなかったために、消滅した栽培品目もたくさんあるそうです。
稲作の10アールあたり労働時間は、昭和30年代では200時間を越えていましたが、現在では40時間以下となり、農業機械の開発・普及による貢献度は高いとされています。
このように、農業機械の得意とするところは、大きな力仕事や繰返し作業をスピーディーにできることであり、最近ではこれに賢さ、すなわち知能が加わる農業機械も多くなってきました。
力仕事の代表は、土を耕す作業や作物の収穫作業であり、耕耘機・トラクタ・コンバインなどが利用されています。繰返し作業は、種播き、苗を植える移植、農薬散布など軽作業ではありますが、人力では長時間を必要とするため、機械化により短時間で行うことができるようになりました。
たとえば、田植機は日本のほとんどの水田において利用されています。そして、乗用高速型の田植機は、1組の植付爪が1秒間に7~10株以上を植え付ける能力があり、6条植えの田植機ですと植付速度は40~60株/秒となり、世界に類を見ない高速作業が各地の水田で行われています。
最近では、GPSを搭載し、無人で植付作業を行う田植機や、方位センサ(方位を示す磁石)を利用した手放しで直進する田植機などが研究・開発されています。
このように、機械の制御も最先端技術が導入され、人力より高度な作業が可能となってきました。
しかし、力持ちでスピーディーな作業を行う農業機械は、一般にその性能に比例して当然ながら高価なものとなり、導入は計画的でなくてはなりません。
また、どのような機械器具でも同様ですが、農業機械を上手に取り扱うことが重要で、能率や効果に大きく影響します。そして、上手な取扱いは、機械の耐久性も向上し、ひいては賢い農業経営となります。
家庭の庭仕事に使っているスコップやハサミなども使い放しではなく、作業後に洗浄し、廃油などで薄く油の被膜を保ち手入れをしておくと長持ちし、次の作業も能率良く快適に行えますが、農業機械も基本は同じです。
(※画像をクリックすると大きく表示されます)
大阪府出身。農学博士。昭和43年農業機械化研究所(現:農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター)入所。農業機械の開発研究に従事。同センター所長を経て、現在:同センター新技術開発部プロジェクトリーダー