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2007年6月20日
●『赤血球がメタボ』で血液がドロドロに! ―‘おいしい脂肪’が病気を招く―
鈴木建夫(宮城大学食産業学部教授)
サシの入った肉、脂ののったトロ・・・が病気の一因
生活習慣病の原因となる、肥満などの症候群(メタボリック症候群)を「メタボ」と称している。もちろん、カタカナになったからといって、体重が軽くなるはずもない。その原因とされる脂肪は、近年、着飾って我々人間に迫っている。
噛めば噛むほど味が出る赤肉ではなく、サシの入った肉が珍重される。より利潤の高い銘柄牛の肥育が、農家にとってどんなに大事かはわかっているし、美味しいことも事実である。魚も然りであり、昔は食べる習慣はなかったそうだが、油の乗ったマグロのトロは美味しい。
脂の美味しさについての研究を続けておられる京都大学の伏木先生は、脂の麻薬並み(?)の習慣性まで疑っておられる。
「変形能」は赤血球のマジック
ところで髪の毛を触っていただきたい。この毛髪の太さは、約30~50ミクロン(ミクロン=1000分の1ミリ)程度である。この6分の1~10分の1程度の太さである5ミクロン程度が、我々人間の毛細血管の太さである。
人間の赤血球は中央がくぼんだ円盤状をしており、その直径は8ミクロン程度である。赤血球は毛細血管の太さよりも大きいことになる。赤血球は身体を折り曲げて(この能力を変形能という)毛細血管を通り抜ける際に、酸素や栄養分を細胞に渡し、炭酸ガスや老廃物をもらい受ける、という、実に巧いしくみを持っている。
この赤血球が『メタボ』になると、大変なことになる。赤血球の外側が脂肪に覆われた状態になると、変形しにくくなってしまう。
筆者が理事長を務めた食品総合研究所の、菊地佑二博士が創案した、「血液のドロドロ・サラサラ測定装置」のショッキングな画像は、読者の皆さんもご覧になっているだろう。
血液のドロドロは、赤血球の『メタボ』が原因となっている。高脂血症から始まり、肝硬変や糖尿病の患者さんの血液がドロドロであることは、確かめられている。
「オサカナスキヤネン」で血液のメタボを解決!
これを予防するには、「オサカナスキヤネン」を実行してほしい。オ(お茶)、サ(魚)、カ(海藻類)、ナ(納豆)、ス(お酢)、キ(キノコ類)、ヤ(野菜)ネ(ネギ)が有効であるという。
メタボの解決には、まず、血液の『メタボ』を解決することが大切でしょう・・・もちろん食べすぎは論外です!
昭和18年仙台生まれ。東北大学大学院農学研究科修了。同大学農学部勤務、農学博士。昭和51~53年米国立衛生研究所(心肺血液研究所)客員研究員。農林水産省・食品総合研究所、農林水産省研究開発課長等を経て、食品総合研究所長(第20代)。独立行政法人化により同・理事長。平成16年、宮城大学教授、現職。