農業のポータルサイト みんなの農業広場

MENU

ミカンは肝機能を高める? 【上】

2007年5月21日

    
    (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所健康機能性研究チーム 主任研究員 杉浦 実


ミカンの健康パワーが明らかに

 果樹研究所では、国内主要果実であるウンシュウミカン(以下ミカン)の健康維持・増進効果に関する研究を行っています。これまでに、がんや糖尿病などの生活習慣病の予防に有効かもしれないことを明らかにしてきました。

 実験室レベルの研究では、優れたミカンパワーが次々に明らかになってきましたが、果たして本当にミカンをたくさん食べることが、人の健康に役立っているのか? そこで私たちは、ヒトレベルで明らかにするため、栄養疫学調査を平成15年から開始しました。


 調査は「みっかびみかん」のブランドで全国的に有名な静岡県浜松市三ヶ日町の住民約1000人のご協力を得て行っており、10年計画で追跡調査を実施しています。同意の得られた皆さんに対して、一人ずつ栄養摂取状況や生活習慣等を調査し、基本健診データ等と併せて総合的に評価して、ミカンがどのような健康機能性を有するかを明らかにしていきます。


ミカンの色素成分・β-クリプトキサンチンに着目

 特に私たちは、ミカンに豊富に含まれる色素成分のβ-クリプトキサンチンに着目し、血中β-クリプトキサンチン濃度とさまざまな健康指標との関連について検討を行っています。
 栄養疫学研究では被験者に対して過去の食行動を聞き取りにより調査しますが、被験者の記憶に依存するという欠点がありました。

 ところが、β-クリプトキサンチンの血中濃度は、ほぼミカンの摂取量を反映しています。三ヶ日町での調査でも、血中β-クリプトキサンチン濃度といろいろな健康指標との関連を解析することで、より正確なミカンの効果を検出することができます。

 これまでに興味深い結果が幾つか明らかになってきましたが、次回はその中から、特にミカンと肝臓機能との関連についてご紹介します。


 ●β-クリプトキサンチン(β-CRP)とは●
 ウンシュウミカンに特異的に多く含まれるカロテノイド。大腸、皮膚、肺で発がん抑制効果が認められている。リウマチ、糖尿病に対する予防効果を示唆するデータもでている。
果樹研究所HP)より抜粋

すぎうら みのる

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門 カンキツ研究領域 カンキツ流通利用・機能性ユニット長

「2007年05月」に戻る

ソーシャルメディア