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2007年9月 6日
「豚の丸焼きと夏祭り」
柴田千代
ほおに当たる風は温かく、気持ちの良い日が続いている。昼間は晴れていても朝晩は冷え込むので、朝は草や花に露がかかる。
朝露の付いた草花はキラキラと光りとても美しい。こちらを急かすように、朝日を浴び鳥たちや虫たちが朝から忙しそうに活動している。
この農家の母屋は築300年の古い家。堂々としており、大きな樹木を見ているような迫力がある。一目見て、ここにはトトロに出てくる「まっくろくろすけ」が住んでいると確信した。築300年といっても内装は綺麗に増築され、半分は自宅、半分は農家民宿として一般の人が利用している。
今日は村のお祭りに行った。近所の人たちが集まり、劇や音楽を聴きながら村人たちとの交流を目指すため、毎年一回行われている。
祭りの目玉は、楽しい音楽と豚の丸焼きだ!
お世話になっている牧場のご夫婦は、一週間も前から楽しみにしていた。朝すばやく仕事を終え、天気がよい中、歩きながら祭りに向かう。久しぶりに会った奥さん方は話に夢中!
会場に到着すると、何かが火に焼かれ回っている。よくよく見てみると、なんと豚が3頭も串に刺され回っているのだ。姿かたちがそのまま焼かれる豚を見るのは初めてで、あまりのリアルさにとても驚き、目が離せなくなった。
隣で一緒に見ていた子供は、「わ~い 今夜食べられる豚だ! お母さん今日はいっぱいいるね」と大はしゃぎ。何がいっぱいなのだ? と回りを見回すと、他に大きい豚が2頭も回っている(計5頭)。
3時間かけゆっくり焼きあげた豚は、250人分の夕食に変わって登場した。添え物は茹で野菜(キャベツ、にんじん、ジャガイモ)。
炭で焼かれた豚の味はなんとも言えないほどジューシーで、一口噛むと肉汁がじわっと口の中に広がる。豚肉そのものにしっかり味があって、マスタードだけでも十分に美味しくいただける。
美味しいものを食べていると自然に笑顔になる。お酒が進み、話が一段と盛り上がる。子供からお年寄りまで長いテーブルを囲み、一緒にご飯を食べる。
ここはスーパーもない小さな小さな村だが、村人たちはとても仲がよく、一年に一度の村のお祭りには必ず参加するという。隣の人と肩を寄せ合いながら食べる食事は学校の給食のようで、何か懐かしいひと時を過ごすことができた。
日本では、近所付き合いが減少しているという。フランスでも同じ傾向のようだが、この村ではそれがうそのように賑やかで、忘れらない楽しい一日となった。
(※画像をクリックすると大きく表示されます)
東京農業大学 食品理工学研究室(チーズ班) 卒業
新得共働学舎 チーズ工房 2年勤務
フランスワーキングホリデービザにより、現在チーズ製造技術を取得するため、フランスで農家製チーズの技術をじかに学び帰国。