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フランスまるかじり生活 【1】

2007年7月23日

 ヤギ・ブタ農家にて2ヶ月の実習中

    柴田千代


 フランス、ブサンソンの空は高く、太陽がまぶしい季節になってきた。澄み切った青い空を見るのはとても気持ちがいい。春小麦が金色に色づき、重そうに首をかしげている。
 牧草地では、一番草が刈り終わり、広い草地に順々に並べられていて、初夏の訪れを感じることができる。


背伸びして木の葉を食べるヤギ達

 ヤギ達が一面に生えきった草を嬉しそうに食み、草花がいっせいに咲き乱れ、太陽を我先につかもうと懸命に伸びている。その姿を見ていると思わず微笑んでしまう。

 今年は異常気象の影響か雨の日がとても多く、緑がいっぱい。日中はかっと晴れ 夕方又は夜中に雨がどっと降ると言ったような毎日が続いている。(スコールのように粒が大きく、とても強い)

 草花やヤギが食む草には最適だが、牧場主さんは「今年は異常だ、こんなに雨が降ることなんて無かった」とぼやいていた。例年にはなかった現象だそうだ。


 ヤギたちは、毎日必ず放牧する。外に出た瞬間の、彼女たちのはしゃいだ様子を見るのがとても好き。じゃれ合い、ぴょんぴょん跳ねながら外に出てゆく。

 2月・3月に出産を終え、搾乳が忙しい毎日。ヤギは牛と違い乳房は2本で乳量も少ないため、搾乳もあっという間に終えることができる。


 乾燥した土地でも、野山でも丈夫に育つヤギたちは、素晴らしい適応性を持っていて、山道も難なく登って行く。雑草も花も何でも草であれば食べる。(花壇の花を食べられ 奥さんと私はいつもヤギと追いかけっこ コラー!!)

 少ない量のエサでもしっかりとミルクを出すことができ、かつ彼女たちは体が小さいので誘導も楽で、扱いやすいところが私はとても気にいっている。

自宅地下にある製造室とヤギチーズ


 元気なヤギたちのミルクで作るチーズの味は濃厚で香りが深く、一口食べると口の中がヤギになる。ヤギたちが青草を食べている様子、太陽を見つめている様子、野原を走り回っている様子。チーズの中に濃縮されこちらに伝わってくる。

 「あぁ なんて美味しいのだろう」と思い、この感動を言葉でどう表現していいのかわからず、私は「べぇぇぇ~」とヤギのように叫んだらみんなに大笑いされた。


 朝晩のミルクを合わせ、一回のチーズ作りが行われる。新鮮なミルク・レンネット・前回チーズを作った時のホエー(乳酸菌として)・塩で作られる。製法は酸凝固である。

 レンネットを添加し、一晩かけゆっくりと凝固させる。翌日モールディング(型入れ)を行い、反転し、塩を軽く振り、三日目に型抜きをしてできあがり。

 ヤギチーズを食べながら、ヤギチーズの話をするのがとても贅沢に感じる。フランスに来て本当に良かった。

(※画像をクリックすると大きく表示されます)

しばた ちよ

東京農業大学 食品理工学研究室(チーズ班) 卒業
新得共働学舎 チーズ工房 2年勤務
フランスワーキングホリデービザにより、現在チーズ製造技術を取得するため、フランスで農家製チーズの技術をじかに学び帰国。

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