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2007年4月23日
【神様の食事と自給率】
全国農業改良普及支援協会会長 大森 昭彦
平成17年度の食料自給率レポートが公表されました。それによると、わが国の食料自給率(オリジナルカロリーベース)は、8年連続で40%とのことです。
数年前、毎年勤労感謝の日に明治神宮で行われる新嘗祭(収穫感謝祭)に参加していた頃の話です。
厳粛な式典の最中、私は、恭しく三方で運ばれてくる神様の召し上がりもの(神饌)に大いに興味を引かれてしまいました。
その場での私の理解では、「神様はまず、お茶を飲み、大徳利でお酒を飲み、大きな鏡餅を食べ、魚二皿、肉二皿、そして山盛りの海藻、野菜、果物等を平らげ、最後にお茶で締めくくる」というものでした。
ところが、神職の方にお伺いしたところ、最初と最後はお茶ではなく、塩水(湯飲み茶碗の水と小皿に山盛りの塩)でした。水と塩は生命の基本とのことです。
また、魚は川魚(鯉)と海魚(鯛)。肉は山鳥(雉)、と海鳥(鴨)。海菜は昆布とテングサ等。野菜は大根、人参、ごぼう、かぶ、ほうれん草等。果物はりんご、みかん、柿等であることが分かりました。
そこでふと、この食事の自給率は一体どれくらいだろうと思ったのです。
そうです、神様の食事の自給率は「100%」だったのです。(魚と肉が天然物の場合)雉や鴨肉は簡単に手に入りそうもありませんが、見事に地場物ばかりです。
ちなみに、明治神宮では全国各地の産物を持ち寄って、標準的な食事として組み立てられているようですが、各地の神社では、それぞれ土地の産物をお供えするのでまさに「地産地消」になるようです。
環境にやさしく、地域の歴史と文化に支えられた「食と農」のあるべき姿をみた思いがしました。
※参考
●食糧自給率の部屋(農林水産省)
●食料自給率レポート(同上)
社団法人全国農業改良普及支援協会 会長