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2008年4月24日
春の便り
農村ライター 長尾道子
春めいてきましたね、と、この時季に言えるとは思ってもみませんでした。
何故なら、4月早々に畑の土が顔を出し、熊笹の緑が日に日に濃くなって、クロッカスが咲くのは、生まれて初めての体験! ですし、小麦と牧草以外、緑色の草木を見ることができるなんて、この時季ではとっても珍しいこと。
とはいえ、北海道は過去に4月や5月に雪が降ったこともあるので、まだまだ油断はできませんが、例年よりも春の訪れが早いのは確かです。やはり、温暖化の影響でしょうか。
本州ではもう葉桜のようですが、北海道はこれからが桜の季節。もうしばらくは春の陽気を楽しもうと思っています。
季節を感じるものの1つに、「食」がありますよね。
春のこの時季、待ちわびていた食べ物の1つに、ニシンと山わさび(ホースラディッシュ)があります。
ニシンを生で食べるの? という人も多いでしょうか。
ニシンは鯡(魚にあらず)とも書かれる魚ですが、その昔は畑の肥料となって、その時代の農業を発展させた立役者であり、内臓と頭を取って干した身欠きニシンは、北海道の開拓民の胃袋を支える保存食としてはもちろん、北前船で北陸や関西方面へ運ばれ、郷土食の一役を担う食材となりました。
昔のように御殿が経つほどの水揚げはありませんが、今でもなお、ニシンは、私たち道産子にとって、春を告げるとても大切な旬の魚です。
昔はこの時期になると、それぞれの家庭で一年間食べるだけの大量のニシンを購入して身欠きニシンを作り、白子や数の子は干し、頭や内臓は肥料にして、余すところなく利用していたそうです。
また、旬であるこの時季に、新鮮なうちに焼いて食べるのがご馳走だったと話してくれたお年寄りがいました。
そんなニシン、我が家では身欠きを作ったことはありませんが、春になると「旬で安く、おいしい」ということでよく食卓に上ります。ほとんどが塩焼きで、それにタップリの大根おろしと山わさびをおろしたものを加えていただきます。
昨年の秋から雪の下で冬眠していた大根と、春の雪解けとともに新芽を出して「ここにあるよ」と存在を示してくれる山わさび。それを掘り起こしてすりおろし、ニシンに添えるとホロホロっとした身に越冬して蓄えられた甘みと刺激的な辛味が加わり、美味しさがグンと増すのです。
気がついたら、ご飯があっという間になくなってしまうほど。しかも、数の子が入っていようものならラッキーこの上なし! ニシンは外から見ても雄雌の区別がつかないため、白子か数の子かは一か八か、なのです(身はオスのほうが美味しいっていいますけど、ね)。
今年はポカポカ陽気が続いているので、旬を外で楽しもうと、義父と息子とニシンを網焼きにしました。息子はジュージュー音を立てているニシンを珍しそうに眺め、焼けるとモリモリ食べていました。
《今回のおいしいモノ》
いちごが安かったので、少し多めに買ってジャムを作ってみました。
ヘタとゴミを取って、いちごに砂糖を加えて一晩寝かせ、翌日に水分が出たものを火にかけ、丁寧にアクを取りながら煮詰めていきます。終始、家中が甘酸っぱい香りに包まれて、幸せな気分で出来るジャム作り。
昔から時季になると、母がホーローの鍋いっぱいに作って、煮沸した瓶に何本も詰めては年中楽しんでいました。私は果肉を潰さず、ゴロゴロした状態のものが大好きなので、あっという間に瓶は空っぽになってしまいます。
異業種の職業を持つメンバーが「食」と「農」のあり方を真剣に考え、行動する「食農わくわくねっとわーく北海道」事務局長。食べることと農は一体。自分たちの生活を楽しくするために、「一緒にわくわくしましょう」という思いを実践する。