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EZOからのおいしい便り 【9】

2008年1月21日

 手造りのおせち料理

    農村ライター 長尾道子


 新年あけましておめでとうございます。みなさん、よい年越しでしたか?

 我が家は29日に引越し、30日に帰省し、北海道に戻ってからは夫と私の実家へ行ったりきたりで、気が付いたら年を越していた…という状態でした。そして、ホッとしたのもつかの間、年明け早々風邪を引いてしまいました…。引越しやら手続きやら、12月に入ってからずっとバタバタしていたので、帰省して、ホッとして気が抜けてしまったからでしょうか。

夫の実家のうま煮


 さて、正月と言えばおせち料理。今は手造りする人が減り、百貨店や料亭で購入したり、食べなかったりする家庭が増えていると聞きますが、私はおせち料理が大好き! 小さい頃から毎年、手造りのおせち料理を楽しみにしています。この時期に親戚の家に行くと、食卓に並ぶ品は大体同じなのに、同じ味のものが一つとしてない! 今考えると当たり前のことなのですが、そのときは不思議でたまりませんでした。


 我が家は両親とも室蘭市出身だったので、暮れに帰省すると、大晦日と元旦は父方の祖父母の家で、2日は母方のおじさんの家に親戚が集まりました。


 祖父母の家のおせちは主に母が作るのですが、一番好きなのはうま煮。さといも、レンコン、鶏肉、かまぼこ、こんにゃく、人参、ごぼう、干ししいたけなどの素材を、煮豆くらいの大きさに切ります。そして、それらをそれぞれ煮てあわせていく。子どもの頃から毎年食べているので当たり前の味でしたが、こんなに小さく具を切るのは他ではあまり聞きません。

私の実家のうま煮。息子の大好物になりました


 母になぜ具がこんなに小さいのか尋ねると、祖母かその親の時代に、子どもが好き嫌いせずに、おいしく食べられるよう工夫したら、こういった形になったらしいと教えてくれました。へぇ~、具が小さいのはそんな思いがあったのかぁ。聞いてから、ますますうま煮が好きになり、毎年作ることを手伝うようになったのです。


 一方、母方のおじさんの家で楽しみにしていたのも、うま煮でした。ここでは大皿にさといも、鶏肉、こんにゃく…と煮物のように1品ずつ丁寧に盛られていて、しかも具が大きい。母の作るものとは全く別で、好きな具をたくさん食べられる! そんな子どもたちの行動を察知してか、おじさんは必ず「好き嫌いせずに全部食べなさい!」というのですが、従兄弟がたくさん集まれば「私、ごぼう食べてあげるからこんにゃく食べて」など、嫌いなものを交換して助け合って(?)いました。あ~懐かしい…。


 おせち料理を振り返ると、昔の楽しい思い出がたくさん蘇ってきますよね。数年前から、いろんな地域の家庭料理をいただく機会が増えているのですが、特におせち料理にはそれぞれの家の思いや歴史がぎゅっと詰まっていて、毎回頂くたびに感動します。

 料亭で作られるおせちは確かにおいしいのですが、その家庭で伝わってきた料理は別の価値と優しい味わいがある。お金を払えば購入できるこの時代に、手間を惜しまず親から子へと受け継がれるおせち料理は、絶対になくしたくないものの一つですね。


 今は結婚して実家が2つになり、おせちの楽しみも2倍になりました。両方の実家ではまだおせち料理をせっせと作っています。今までは食べる一方でしたが、これからは作る側になって、息子に伝えていこうと思っています。


《今回のおいしいモノ》

 私の実家では、大晦日にステーキを食べる習慣があります。元旦から三が日、鶏肉以外の肉は食べないため、20年ほど前から父が私たち子どものために決めたもの。今では妹家族も、わが夫もこの習慣を楽しみに大晦日に集まります。

 昔から北海道各地の牛肉を食べていましたが、3年ほど前に、えりもの短角牛を知り早速注文してみました。知り合いが大切に育てている牛ですから、おいしさもひとしお! 以来、毎年たのしんでいます。

 昨年末は4kg近いお肉が、あっという間になくなりました。自然交配でのびのびと育っている短角牛、ぜひ一度ご賞味下さい!

ながお みちこ

異業種の職業を持つメンバーが「食」と「農」のあり方を真剣に考え、行動する「食農わくわくねっとわーく北海道」事務局長。食べることと農は一体。自分たちの生活を楽しくするために、「一緒にわくわくしましょう」という思いを実践する。

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