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2007年11月13日
越前?!からのおいしい便り!
農村ライター 長尾道子
夫の仕事について、9月から福井にやってきました。
といっても、滞在は4カ月で長期旅行みたいな状態です。ですから、福井の暮らしも半分が過ぎ、残りわずかになってきました。
やってきたときは連日の真夏日とじとーっとした湿気、そして知り合いがいないという寂しい環境に疲れてしまいましたが、今は、朝晩のピリッとした寒さと紅葉した木々に囲まれ、日本海の珍しい海の幸やまだまだ濃い緑色をした畑の幸をたっぷりいただくようになって、心も身体もふっくら(?)と元気になってきました。
福井に来て少し疲れていたとき、夫の同僚の方に呼ばれ、夕飯をご一緒する機会がありました。
勤め先が社寺専門の建設会社なので、全国各地から職人さんが集まってきて寝泊りする寮があります。そこで、自宅が遠いため、ウイークデーは寮で暮らしている福井出身の70歳の大工・木村さんが、職場のみんなのために「今日は押し寿司や」と、腕をふるってくれたのです。
行くと、木村さんが押し寿司のために桶と押し板を端材でこしらえて、地酒がかなり効いた独自の合わせ酢たっぷりの酢飯を用意して待っていました。
ついてすぐにお手伝い開始! ラップをひいた細長いお盆に酢飯を敷き詰め、その上にその日スーパーで安売りになったお刺身にわさびをちょっとつけて次々にのせていきます。アジ、エビ、ブリ…そうそう、福井名産の“へしこ”"も薄くそいでのせました。それだけは別の職人さんのお父さんが自宅で漬けたもの。
木村さんがビッチリ敷き詰めた後に板をのせ、両手で押さえながら体重を乗せ、しばし押してできあがり。包丁で切り分けてみんなでいただきました(写真がないのが残念)。
ぎゅっと詰まった色とりどりの押し寿司はどれも「うまいっ!!」。職人さんたちは片手に押し寿司、もう片方に地酒の入ったコップを持ってモリモリ、グビグビ。中でも一番人気はへしこでした。あちこちで「へしこが一番やな」「ん、この塩辛さがいいな」「これ、へしこ自体がうまいな」…
私は息子に酢飯を食べさせ、自分も味わいながら木村さんとお話しました。この押し寿司は木村家に伝わるやり方でよく作って食べること、お客さんが大勢来てもすぐに作れるからいいなど。
話を聞きながら、以前、北海道旭川市を回っているとき、押し寿司を作ってくれたおばあさんたちがいたことを思い出しました。
その人たちは先祖が富山から入植してきた人たちで、自宅にはそれぞれ押し寿司の型があると言っていました。その型は富山から持ち込んだもので、それを使って作ってくれた押し寿司は鮭を酢飯でサンドしたものでした。
「昔は鯖だったらしいですよ」という話を聞くと、富山から旭川に移住してきた人たちは、戻ることのない故郷に思いを馳せ、せめて食べ物だけでも、故郷の味を作り続けたのでしょうか。その押し寿司は、長い年月の中で、鯖が北海道でよく採れる魚・鮭に変わり、今は北海道旭川の郷土食になった、といっても過言ではないと思ったのです。
木村さんの押し寿司は、元気のない私に地元のおいしさと北海道で未だ息づく押し寿司の存在を思い出させてくれ、改めて北陸と北海道のつながりを教えてもらったような気がしました。
(※画像をクリックすると大きく表示されます)
《今回のおいしいモノ》
福井の家の近所にある直売所「愛菜館」。「喜ね舎(きねや)」というJAの施設の中にあります。
そこで売られているおはぎはおいしい!
粒あん、きなこ、ごまの3種類が柔らかく炊いたもち米をくるんでいます。見ていたら、そこの直売所の売れ筋ナンバー1の商品のようです。
JA女性部のお母さんたちがつくるおはぎ、北海道でもこういった直売所が増えるといいなぁ。
異業種の職業を持つメンバーが「食」と「農」のあり方を真剣に考え、行動する「食農わくわくねっとわーく北海道」事務局長。食べることと農は一体。自分たちの生活を楽しくするために、「一緒にわくわくしましょう」という思いを実践する。