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ろみお的チャイナ!“去看説听味”!! 【2】

2007年7月 2日

第2回:輸出先国として中国に注目しよう ~農林水産物・食品の中国輸出~ 

    森 路未央


 10年以上前、日本の農産物を中国に輸出してみようと考える人は少なかったが、故松岡前農林水産大臣を筆頭に、農林水産物・食品の輸出促進策が国策の一つになっている今、輸出先国として中国の存在が注目されている。


 人口14億人、うち、いわゆる富裕層と言われる1億人は、日本の総人口にほぼ匹敵する。しかも、富裕層が居住する地域の経済成長率は、毎年平均15%を超えているのである。
 日本からのアクセスも良くなっている。中国が注目されているのは当然だ。


 そんな勢いがある隣の大国で、我が国の地域ブランドの試食会を開催すると、中国の人たちの評判は上々! 

2006年10月、北京で開催された中国国際農産物交易会   商談の様子

 昨年(2006年)秋に北京で開催された“中国国際農産品交易会”では、りんごや佃煮などが注目を集め、商談も成立したほどだった。“リアクション”が非常に良いのである。


 これまでの対中国への輸出額実績を振り返ると、

クリックすると大きく表示されます

 (輸出額目標と実績のデータには、アルコール、たばこ、真珠は含まれない。)

 農林水産省ホームページより抜粋、加工
 http://www.maff.go.jp/sogo_shokuryo/yusyutu/data/data7.pdf


 図からわかるように、日本の農林水産物・食品の対中国向け輸出額は、2000年まで100億円台後半で推移していたが、2001年以降に急速に増加している。日本の農林水産物・食品の輸出総額に占める中国の割合は、平成元年は全体のわずか2%を占めるのみであったが、平成18年には18%に拡大している。


 輸出額が増加するにしたがって、中国では、日本食レストランの店舗、外資系スーパー、輸入食品取扱い専門店などの数も、右肩上がりに増加している。特に、最近、上海は香港のように日本料理屋や日本の食品が販売されているスーパーが急増し、まさに「香港化」しつつある。

 売れ筋商品は、お菓子、冷凍サバ、冷凍ギンザケ、りんごなどである。


 この勢いにあやかって輸出していきたいのだが、ここで冷静になって、輸出条件などを考えると、多くの問題が生じてくる。

 輸出可能品目の限定、貿易上のトラブル、代金未払い、ニセモノ対策、物流(特に冷蔵・冷凍食品を運送するコールドチェーンの構築)、バイヤーとの間での細かな文化的衝突(異文化ショック)・・・。


 中国への輸出は、こうした課題を一歩一歩解決しながら行われているのが現状だ。
 次回はこの輸出に伴う問題について書こうと思う。(画像提供:ジェトロ

 ジェトロ : 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)

(※画像をクリックすると大きく表示されます)


【去看説听味】
中国語で「去」は日本語の「行く」、「看」は「見る」、「説」は「話す」、「听」は「聞く」、「味」は「味わう」を表します。

もり ろみお

1973年生まれ。東京農業大学大学院博士後期課程修了・博士(農業経済学)。
2001~2004年、日本学術振興会PD特別研究員(この間に1年半、中国農業大学経済管理学院訪問学者として北京市に滞在)。
2004~2006年、在広州日本国総領事館専門調査員(華南地域の経済担当)。
2006年4月から独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)輸出促進・農水産部農水産調査課職員。
専門は中国の農業と農村部の経済問題。

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