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2007年6月 4日
第1回:農業に接するポジショニング
森 路未央
90年代に中国から日本に農産物が大量に輸入され、国内農業に打撃が与えられ始めたとき、私は農学系大学院生だった。
私の出身地が都市部(とはいっても千葉県)だったことで、院生時代にはしばしば
「あなたは“都市戸籍”の人だから農業のことはわかりませんね」 と言われたものだった。
当時は「なんでそんなこと言うんだろう?」程度にしか思っておらず、特に気にはしていなかったが、それなりに勉強だけはしておこうと思っていた。
院生当時、中国からの農産物輸入攻勢に対して、私が
「それなら日本も中国に輸出していけばいいじゃないですか?」 と大学院で提案したところ、
「そんなの無理だ!」、
「価格でかなうわけがないだろ!」、
「農家はそんな冒険をしたがらない」
などメタメタに散々に批判されまくり、閉口してしまった。
「やっぱり日本の農業のことがよくわかっていないですね・・・」 と、さらに攻勢される始末だったことを、深く懐かしく思い出す。
その約10年後の今、農林水産物・食品の輸出促進が国策の一つになっている。別に自分に先見の明があったとは思わないが、日本の農業が少しずつ変わろうとしていることだけはわかる。
そして、何かの縁か、今、私は輸出促進の仕事に関わっているのである。
でも、私が立っている輸出促進の舞台は、ジェトロ※という、農業とは縁が薄そうな組織である。たまに「ジェトロも農業をやっているんですか!」と言われることもある。
またもや“純粋な”というか“伝統的な”農業機関・組織でなく、農業とはちょっと縁が薄いと思われる組織で農業と接している。
ここでは、農業に対するいろいろな意見が聞けるので、また楽しい。それに、純農業人の立場に居られないのには、もう慣れたものだ! (画像提供:ジェトロ)
※ジェトロ : 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)
(※画像をクリックすると大きく表示されます)
【去看説听味】
中国語の「去」は日本語の「行く」、「看」は「見る」、「説」は「話す」、「听」は「聞く」、「味」は「味わう」を表します。中国でこれら五感を使って筆者が経験したことを連載します。乞うご期待!
1973年生まれ。東京農業大学大学院博士後期課程修了・博士(農業経済学)。
2001~2004年、日本学術振興会PD特別研究員(この間に1年半、中国農業大学経済管理学院訪問学者として北京市に滞在)。
2004~2006年、在広州日本国総領事館専門調査員(華南地域の経済担当)。
2006年4月から独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)輸出促進・農水産部農水産調査課職員。
専門は中国の農業と農村部の経済問題。