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信州発 “農”と言える日本人 【41】

2012年9月 6日

夜景考

                              高見澤勇太


樽の原から佐久平の夜景が見える。
その日の仕事を終わりにすると、あたりはすっかり暗くなる。
すると山と山の間に、ぽっかりと姿を見せる。
高速道路の明かりだろうか、オレンジ色の光が規則正しく並んで見える。
直線距離で30kmほど離れているだろうか、しかしはっきりと見える。
そのあたりには飲み屋街もあり、まるで自分を呼んでいるようだ。

昆虫は夜、街灯の明かりに集まる習性があるが、人間も同じなのだろうか。
やけに明るい夜のコンビニの光につられて、用事もないのにふらっと寄ってしまうことがある。

樽の原とはわが家の畑がある場所で、標高1300~1450mの高地を開拓した。
開拓からもうすぐ50年を迎える。
真夏でも涼しく、良質の野菜が栽培される地帯である。


農作業も後半戦に突入した。
3月から始めた種まきも、8月中旬までには終わり、8月末には定植も終了。
あとは収穫作業が10月末まで続き、畑の後片付けと堆肥まきをして、11月末ですべての作業を終える。

12月になると、遠くに見えていた夜景の場所に出没する機会が多くなる。
農家的に収入の良かった年は、冬場に群馬・山梨・千葉などにゴルフ遠征。
トラクター・自家用車の更新も増える。

今年は春先から安値安定で、このままいくと赤字で終わる農家も続出と見られている。
農家の収入が少ない時は、お客さんにはお安く提供できたと考えよう。


何をやっても良い時もあれば悪い時もある。
順境の時より逆境のときほど、いろいろなことが見えてくる。

今まで0.1だった視力が2.0になった気がする。改善点が見えてきた。
そんな風にポジティブシンキングで行こう!


先日こんな言葉を耳にした。「男のロマンは女の不満」
何に付けても、良いことと悪いことは「表裏一体」

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」

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