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2012年6月22日
農協の未来
高見澤勇太
第12回長野八ヶ岳農協の通常総代会が、5月24日に開催された。
総代数502人中本人出席82人と、歴代最低の本人出席者数であった。
今年は春先から天候不順で農作業の遅れもあり、総代会出席より農作業を優先したのが、一番の要因と考えられる。
それに加えて、6つの農協が合併して大農協になってから10年以上経過し、総代の、農協運営に参加する意識が薄れてきたのではないだろうか。
ちなみに、第一回の総代会本人出席者数は、327人であった。
質疑応答の中で、「肥料・農薬・段ボールなど生産資材の販売単価が、ホームセンターや業者より農協は高い。もっと安くならないのか」という質問があった。
農協の答えは、「できるだけの努力はしているが、単品に特化したディスカウントをする業者に値段ではかなわない」であった。
もちろん同じ商品なら、高いものより安い資材を買えばコストが下がり、農家経営も楽になる。
それと同じ論理で、野菜を少しでも安く買えれば、家計が楽になると消費者も考えているだろう。
今、日本全体が、このサイクルでデフレスパイラルに陥っているのではないだろうか。
考え方を変えたらどうだろう。
『安売りしてくれるから買う』よりも、
『遠くの安売り店より地元のお店を大切にする』とか、
『値段よりこの人が作った野菜だから買いたい』と、ならないだろうか。
農協も、価格で太刀打ちできないならば、組合員が農協から買いたくなるサービスを考えたらどうだろうか。
できる業者は、肥料や農薬を売り込むときに、圧倒的な栽培知識を基に、「だからうちの商品は効果的・・・」とアピールする。
しかし、農協職員は数年で移動するので、基本的に素人で、深い知識はない。それに、もともと農協職員は、農家に売り込みをかけない。
自動車の事故を担当する共済の職員も、普通の農協職員なので、プロの保険屋さんより押しが弱いのだ。
農協を組合員に利用してもらうのに必要なのは、プロフェッショナルな職員の養成と、農家への提案だろう。
物品価格の高低を超えた、『利用したくなる農協・頼りになる農協』だ。
この先には、自信を持って産地の野菜をアピールできる職員と、それをバックアップする農家。
価格以外の付加価値で勝負できる、農協の未来に期待したい。
1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」