MENU
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2011年7月 4日
目ぞろえ会
高見澤勇太
長野県の高冷地野菜の出荷作業が、本格的になってきた。
自分が住む南牧村海尻地区は、標高1000m~1450mに畑があり、
5月中旬ごろから生育期間の短い青梗菜・リーフレタスなどの出荷が始まり、
11月上旬まで白菜の収穫が続く。
現在は、約半年間で1年分の収入を確保するが、
20年前は『100日出荷で1年分稼ぐ』といわれたほど、
短期集中型の高冷地農業の地である。
そんな中、先日野菜の『目ぞろえ会』が開催された。
目ぞろえ会とは「農家全員が同じ目で野菜の品質・規格を確認する会」である。
レタスで簡単に説明すると、
大きさにより12個詰めの2L規格から14、16、18・・・と8等級。
外葉の枚数は2枚、
8分結球で1箱重量が8kg~10.5kg、
虫害・病害・生理障害などの程度、
その他、注意点は文章にするととても長くなる。
当日は、東京と名古屋から市場の野菜販売担当がお越しになって、近況報告を含めて説明があった。
重要なはずの目ぞろえ会だが、毎年同じ内容なので、参加しない農家もある。
長野八ヶ岳農協・南牧支所管内だけでも、年間約30品目の野菜が、約500万ケース以上出荷される。
販売金額は、H22年で約60億円になる。
その数量を、約250戸の農家が各々荷造りするのだから、いくら目ぞろえ会を開催しても、品質格差があるのは仕方がない話である。
問題なのは、ハイレベルの品物が高値で競り落とされても、規格ぎりぎりの範囲内の品物が安値で取引されても、同じ規格内であれば、農家への振り込みは同額の“プール精算”であることだ。
昔から“個人別生産”を唱えているハイレベルな農家もいるが、「売り先が違うと値段が違ってしまう」という農協サイドの訴えで却下される。
南牧支所管内には8地区あるので、“地区別生産”にすれば、自然に競争意識が生まれ、レベルアップが図られるという意見も、「野菜を市場ごとに仕分けする担当者が、単価の安かった地区の農家からバッシングを受けてしまう」などの問題から、没になる。
これでは、これ以上の品質向上は望めない。
最後は「農業協同組合は“協同の精神”が大事」と締めくくられてしまうが・・・。
とにかく大量生産・大量販売。
薄利多売で勝負をする大きな農協に属する自分は、
お客さんにいつでも接している、小さな直売所で商いをしている地道な農家に負けてしまうのではないか。
そんな悪い予感がしてしまう。
1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」