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信州発 “農”と言える日本人 【14】

2010年5月31日

とまと

         高見澤勇太


 先日、近所の種苗会社の折り込み広告が目に留まった。タイトルは『とまとを作ろ!!』だった。
 そこには25品種の商品名と、ひとつひとつにPRコメントが掲載されていた。「食べ比べがしてみたい」という衝動に駆られ、ついつい14品目購入してしまった。

 そのキャッチコピーとは・・・


 近年は時間の過ぎ去るスピードが早く、気ぜわしい時代だ。何かを説明するときに、ていねいにしっかりと説明するよりも、“三言で表現する”ほうがインパクトが強く、印象的に残る。それにまんまとハマってしまった。


 自分は長年、換金作物として白菜・レタス、この2品目をメインに栽培している。トマト・キュウリなどの果菜類は栽培したことがない。単一品目をできるだけ大量に栽培すると、作業面での効率がよく、資材のロスも少ない。単価が安くても、大量販売で収入が上がるシステムになってきたからである。
 一般の生活者(※)が何を求めているかを考えて野菜の生産をするのではなく、何が一番作りやすいかをメインに考えていた。

 しかし今の日本は人口が増えず、満腹になるために食事をする感覚もなくなってきた。逆にダイエットなどが流行り、食事の量を制限する人たちが増えている。現代の日本で、野菜の大量生産は、限界に来ている気がする。


 自分が「このトマトを作ってみたい」と思ったように、生活者が「この野菜を食べてみたい」と思うような野菜を作り、プレゼンテーションすることが、農家にも必要になっているのではないだろうか。

 今までやってきたことを変えるのは、とても勇気がいる。『大きく変わる』と書いて『大変』と読む。
世の中がどんどん変わっているのに、いつまでも自分が変わらなかったら、それこそ大変なことになってしまうのでは・・・


「生活者」とは
野菜ソムリエ協会では「消費者」と呼ばず「生活者」と表現します。
それは【消費者⇔生産者】と対義語になってしまうからです。
消費者も生産者も同じ野菜を食べて生活する者ですから、生活者と呼んでいます。

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」

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