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信州発 “農”と言える日本人 【12】

2010年3月23日

与える者は 与えられる

         高見澤勇太


 先日「第24回南牧村人権を考える村民大会」が開催されました。
 その中で講演会があり、上田情報ビジネス専門学校副校長 比田井和孝氏が講演しました。
講演会のタイトルは「私が一番受けたいココロの授業in南牧村 与える者は与えられる」です。

 小見出しは
 「HONDAの創業者 本田宗一郎さんの生きざま」
 「営業マンYさんの話“もらうこと”ばかりを考えるのをやめたとき」
 「与える心は時を超える エルトゥールル号の話」
 「おもてなしの心 ディズニーランドに学ぶ」 
 などでした。

 その中から「ある鉄道会社の社長の話」を引用させていただきます。


 ◆◆◆

これは、アメリカの話です。
ある鉄道会社の社長が、線路の修理現場を視察していました。すると、1人の作業員が親しげに話しかけてきました。

「久しぶりだね!君もずいぶん出世したものだね。君が社長になったと聞いた時は、本当に驚いたよ」

見ると、その社員は、約10年前に、社長と一緒に作業員として働いていた友人でした。その友人は言いました。

「10年前は一緒に、50ドルの日給をもらうために働いていたのにね。君も変わったね」

社長は答えました。
「…そうだったのか。君は50ドルもらうために働いていたのか。私は、10年前も今も、この鉄道会社のために、そして、世の中の人たちに快適な旅をしてもらうために働いているんだ」

 ◆◆◆


何のために働くのか
50ドルを「もらうため」に働いている友人。
「何とか役に立ちたい」「どうしたら喜んでもらえるだろうか」「与えるため」に働いている社長。

同じ仕事をしていても、その目的が違うだけで、10年もたったら、これだけの差がついてしまうんですね。


 今の農業にも、同じことが言えるのではないでしょうか。
 農業界は、販売収入が少なくなっています。みんな、何とか農業所得を増やそうと考えています。その結果、「何とか野菜をたくさん買ってもらうために」「補助金をたくさんもらうために」働いている気がします。

「生活者の役に立ちたい」「どうしたらお客さんに喜んでもらえるだろうか」
与えるため」に働く。そう考えたら10年後、日本農業の未来はきっと明るいはずです。


  


 約90分の講演会、いや授業と言いましょう。授業の最後には、講演会参加者、いや生徒の約9割の人が涙したと思います。(自分は3回泣きました)

 さあ、農家のみなさん、考え方を少しだけ変えて見ませんか。


 ●参考文献
 「私が一番受けたいココロの授業」
  比田井和孝・比田井恵美子 著 (ごま書房新社)

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」

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