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「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【120】

2024年1月18日

「野菜を知って、野菜をもっと好きになろう!」小学6年生の家庭科授業


野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター 田代由紀子   


 先日、渋谷区内の小学校から依頼を受けて、ゲストティーチャーとして、小学6年生に野菜にまつわる授業を行いました。
 野菜の旬や栄養素、調理法による味の違いを学び、野菜への関心をもってもらい、今後行われる家庭科の単元「こんだてを工夫して」で、栄養バランスを考えた献立を考える力を身に付けることが目的です。

 1限目は「野菜の旬や栄養素を知る」をテーマとした座学とグループワーク、2限目は「切り方・調理法による味の違いを知る」をテーマに実習を行いました。


 最初に4~5名ずつ6グループに分かれて、知っている野菜の名前を挙げてもらいました。ふだん自分が口にする野菜の名前が挙がると思っていたのですが、それらはもちろん、今どきの小学生はタブレットを上手に使いこなして、アーティーチョークやカリフローレなど自分が食べたことのない野菜や、「セリ、ナズナ~」と春の七草を挙げるグループ、九条ネギや壬生菜、聖護院ダイコンといった京都のブランド野菜を調べたグループなど、さまざまな野菜の名前が挙がり、興味深かったです。


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 次に、それぞれのグループごとに、自分たちで決めたルールに従って、タブレットに入力した野菜をグループ分けしてもらいます。理科の授業で習っていたせいか「実・葉・茎・根」など食べる部分に分けたグループが多くみられましたが、中には「赤・緑・白・黄色」など色で分けるグループ、自分たちの好き嫌いで分けるグループなどもあり、楽しく発表を聞きました。


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 発表が終わった後に、色の濃い野菜と薄い野菜、緑黄色野菜と淡色野菜についての説明を行い、再度自分たちが挙げた野菜のグループ分けをしてもらうと、「ネギはどっちだろう?」「キュウリは濃い野菜だよね?」といった声が聞こえてきました。
 ネギやダイコンのように白い部分と濃い緑色のある野菜は、それぞれ含まれる栄養素が異なること、キュウリやナスのように皮が濃い色でも、中身が薄い色の野菜は淡色野菜に分類されることなど、実際に野菜を見せて話すと、納得した表情を見せてくれました。


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 また、野菜には旬があることも説明しましたが、都会の小学生にはあまりピンとこないようでした。旬の野菜は栄養成分が豊富でうまみが濃く、その季節に体が必要とする栄養を摂取できる、そして安く手に入ることなどを話し、『冬の定番「鍋料理」に入っている野菜は?』と質問すると、ネギやハクサイといった答えが返ってきました。


 2限目はハクサイ、ダイコン、ホウレンソウを使っての実習です。
 ハクサイは繊維に沿って切ったもの、繊維に垂直に切ったもの、葉の部分に切り分けます。ダイコンはすりおろし、角切り、千切りにして炒めたもの、ホウレンソウはゆでたものの根・茎・葉を用意してもらいました。女子も男子も実習は楽しいようで、競って包丁を使い、おろしがねでダイコンをすりおろしていました。


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 それぞれ、食感の違いや甘み・辛みの違いを自分の言葉で表現できるよう問いかけてみると、「ハクサイは切り方でみずみずしさが違う」「ホウレンソウの根っこは食べたことがなかったけれど、一番甘い」など、感じたことを伝えてくれました。インターネットで調べて知識を得ることは大事ですが、自分が感じたことを自分の頭で考え、自分の言葉で表現できる力も身に付けてほしいと思います。


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 最後に、次回の家庭科の授業で考える「献立」には必ず野菜を、できれば緑黄色野菜と淡色野菜の両方を入れてね、と生徒たちに伝えて、2時間の授業を終えました。

たしろ ゆきこ

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。

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