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「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【113】

2023年6月16日

日本最南端の農産物直売所「ゆらてぃく市場」


野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター 田代由紀子   


 6月初め、沖縄県の石垣島を初めて訪れました。
 沖縄はこの時期、梅雨入りしているものの訪れるのにはねらい目の頃と言われ、激しい雨がざっと降りすぐに青空が広がる気候だそうです。でも今年は、直前に台風2号が石垣島から沖縄本島へ接近。石垣島のパイナップル畑や街の様子をテレビのニュースで見ながら、飛行機が飛ぶだろうかと直前までヒヤヒヤして過ごしました。


tashiro_113_1.jpg 大雨の東京を発ち石垣島に到着すると、台風一過の快晴でした。蒸し暑さはあるものの、木陰に入ると涼しい風が心地よく、南国に来たと感じました。台風2号の影響を現地の人に尋ねてみると、それほどではなかったとのこと。毎年大きな台風を経験している島民の方々は、事前の準備が万端なのでしょう。

 また、台風はやっかいなものではあるが、夏の海には必要なものでもあるといいます。海に住むサンゴは水温が上がり過ぎると白化してしまうけれど、台風が海水をかき回し外洋の海水が入ってくることで水温が下がり、サンゴにとって快適な環境を作り出す効果があるそうです。サンゴ礁は、海に築かれた堤防のように陸地を波から守る役目を果たし、多様な生きものたちのすみかとなり、漁業や観光の資源としても有用な存在であるため、台風は必ずしも「悪」ではないと教えてもらいました。


 島内では美しい海をながめながら散歩をしたり、浅瀬の海でシュノーケリングをしたりして楽しみました。街から外れたところに野生のパパイヤが実っているのを見つけ、海では美しいサンゴにカラフルな魚、カメを間近に見ることもできました。東京とは大きく違う環境に大いに刺激を受けました。


 中でも一番感動したのは、石垣島のJAファーマーズマーケットやえやま「ゆらてぃく市場」です。ここは日本最南端の農産物直売所で、石垣島の生産者直送の野菜や果物が並んでいます。
 ちょうどパイナップルの最盛期で、店内に入ると、なんともいえない甘い香りがしていました。入り口から奥までを埋め尽くすように、パイナップルの山、山、山。パイナップルにこんなにたくさんの品種があったのかと驚くほど、数多くの種類のパイナップルが並んでいました。直前の台風で出荷できなくなってしまうのでは、と心配しましたが、たくさんのパイナップルを見てほっとしました。
 果物だけでなく、南国の野菜がたくさん並んでいます。エンサイ(クウシンサイ)、ウリズン(シカクマメ)、ゴーヤなどなど。そして、ヘチマや未熟のマンゴー、赤毛ウリ、フーチバーと呼ばれるヨモギ、ニガナなど、初めて見る野菜も多くありました。


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左 :ゆらてぃく市場入り口 / 右 :グァバの葉


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ヘチマ(左)と月桃(右)


 手作りの餅を包む月桃の葉や、薬用茶として親しまれているグァバの葉なども、初めて見るものでした。
 館内放送で「ムラサキイモとエンサイは県外の持ち出し禁止です」とアナウンスがあり、本土から離れたところにいるのだなぁと実感しました。


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左 :シカクマメの胡麻和え / 右 :ニガナとツナの白和え


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左 :ヨモギのチーズリゾット / 右 :ヘチマと豆腐の島辣油がけ


 ウリズンやフーチバー、ニガナ、そしてパイナップルをお土産に持ち帰りました。ウリズンはすりゴマとゴマ油でナムルに、フーチバーは細かく刻んでひき肉と炒めたそぼろやチーズを加えたリゾットに、ニガナはツナと一緒に白和えにしました。
 沖縄野菜や果物をいただきながら石垣島の風景を思い出し、また訪れる日を楽しみにしています。

たしろ ゆきこ

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。

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