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「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【109】

2023年2月17日

援農ボランティアとトマトランチ


野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター 田代由紀子   


 暦通り春のような陽気だった立春の日、藤沢にある井出トマト農園の援農ボランティアに行ってきました。

 井出トマト農園は、2年前にトマト狩りに訪れた農園です。数日前に、「管理作業の体験イベントを開催するので参加しませんか。援農ボランティアとしてトマトの栽培の様子を学ぶことができます」というメールが届いたので、参加してみることにしたのです。前回は「観光農園のお客」という立場でしたが、今回は丸一日、仕事をしてきました。


 農園に着くと、作業の説明がありました。今回の作業は、大小あわせて6棟のハウス内で長段栽培されているトマトの「果柄切り」と「下葉集め」です。

 果柄切りとは、背の高さくらいになっているトマトの下の方にある葉を、落としていく作業です。葉が混み合っていると、日陰になって光合成がしにくくなり、風通しが悪くなって病気の原因となる菌や害虫が付きやすくなるから、とのことでした。専用のナイフを使って葉を落としていきますが、ナイフの使い方や、数本切ったら必ず消毒をすること、などの説明を受けました。慣れるまでは、元の枝を傷つけないように、近くに実が付いているときは実を傷つけないようにと、緊張感のある作業でした。
 大きなハウス内には、ジャングルのように葉が繁っていましたが、 20名近いボランティアの皆さんと一斉に作業すると、すっきり風通しがよくなりました。


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下葉カットの作業()と下場カット後(


 下葉集めは、切り落とした葉を集めて捨てる作業です。落とした葉をそのままにしておくとカビが生えて病気の原因になるので、とても大事な作業とのこと。広くて長いハウスの端に寒冷紗やビニールなどを広げて、集めた葉を乗せながら移動していきます。立ったりかがんだり中腰で移動したりと、なかなかの重労働でしたが、ボランティアの手で、全てすっきりきれいに片付きました。


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下葉の片付け()と片付け後(


 作業をしたハウスは、気温や湿度、日射量や風速などがデータ化され、暖房設備やハウスの屋根の開閉が自動で作動し、トマトの生育に最適な環境作りをしていると、前回訪れた際に話を聞いていましたが、これらの作業は機械ではできないのだと知り、ハウスを清潔に保つためには多くの人の手がかかっていたのだと改めて感じました。


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高所作業()と片付けられた下葉(


 お昼は井出トマト農園さんオリジナルのカレーとトマトサラダ、そして、作業の途中で収穫させてもらったカラフルなミニトマトと、今年試験的に栽培しているというイチゴもごちそうになりました。日射しが降り注ぐ温かいハウスの中で食べるお昼ごはんは格別です。トマトピューレをふんだんに使った甘口のカレー、とれたての新鮮トマトとケールのサラダ、ひとつずつ食感や香り、甘みや酸味の異なるミニトマト、甘みの強いイチゴが疲れた体を癒やしてくれました。


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 井出トマト農園では、今回が初めての「管理作業の体験イベント」だったそうです。家庭菜園とは違う、プロの野菜作りを知ることができた貴重な体験でした。また機会があれば、参加したいと思います。

たしろ ゆきこ

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。

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