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「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【105】

2022年10月14日

酪農家×農家×職人が結集。八王子の新名所「TOKYO FARM VILLAGE(トウキョウ・ファーム・ヴィレッジ)」


野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター 田代由紀子   


 東京都の西部に位置する八王子市は豊かな自然に恵まれ、都内一位の農業生産高を誇る農地が多く残る市です。中でも市南部の小比企地区は野菜生産が盛んで、田園風景が広がる地域です。

 その小比企地区には70年前から酪農業を営む「磯沼ミルクファーム」があり、近隣には磯村ミルクファームの牛糞堆肥「牛之助」を使用する農家が多くあります。江戸時代から農業を続ける「中西ファーム」も、そのうちの一軒。その磯沼ミルクファーム、中西ファーム、そして八王子発祥の人気洋菓子店「BASEL(バーゼル)」が共同でオープンカフェ「TOKYO FARM VILLAGE」を開業すると聞き、オープン記念のイベントを訪ねてきました。


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左:「TOKYO FARM VILLAGRE」の入口。よく見てみるとドアハンドル部分には農機具
右 :左から 磯沼ファーム、中西ファーム、BASELの、それぞれの責任者


 「TOKYO FARM VILLAGE」では、磯沼ミルクファームの新鮮なミルクを使ったヨーグルトやチーズなどの乳製品やソフトクリーム、中西ファームの減農薬野菜を販売しています。訪ねた日にはツルムラサキや緑ナス、空芯菜など、収穫したばかりの野菜が並んでいました。中西さんにお勧めの野菜を聞くと、「これからの季節はカラフルなニンジンや新顔野菜のカリフローレが出てくるので、ぜひ試してみてください」とのことでした。


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左 :中西ファームの野菜を使ったサラダ
右 :中西ファームの野菜の販売コーナー


 BASEL(バーゼル)では、牧場の牛乳やチーズ、中西ファームの野菜を使ったケーキや、野菜たっぷりの料理を提供しています。使われる野菜には傷があったり凹んでいたり、売り物にならない野菜も多くあるとのこと。B品の野菜であっても、工夫して調理することでおいしい料理を提供できるし、野菜をむだなく利用することができます。
 磯沼ミルクファームの堆肥を使って野菜を作り、その野菜を使ってBASEL(バーゼル)が料理を提供する。TOKYO FARM VILLAGEにはよい循環ができあがっています。


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「TOKYO FARM VILLAGRE」の内観(左)とディスプレイ(右)


 施設の建物は牧場の納屋をイメージしたもの。コンクリートの床に土壁、古材を使用した家具や古い農具などがディスプレイとして置かれ、TOKYO FARM VILLAGEのコンセプトである、牧場や農園の「おすそ分け」のイメージによく合っています。
 テラスからは小比企地区の丘と高尾の峰々を眺めることができ、天気の良い日には気持ちのよい場所となるでしょう。
右下 :テラス席


tashiro_105_7.jpg このように、八王子の新たな観光地として子どもから大人まで楽しめるスポットですが、単に「ソフトクリームが食べられる、野菜が買える」といった商業施設としてだけでなく、下記のコンセプトでさまざまな取り組みを行っていくとのこと。


1.「豊かな自然が残るように」循環型経済・循環型農業を実践
2.「おすそ分けをするように」家族にも食べさせたいものを生産・提供
3.「生きる力を高めるように」古来の知恵や叡智をつなぐ場の提供


 「価値観に共感する仲間とともに、不変的な豊かさを継承するコミュニティとして、 価値観を共有する仲間をTOKYO FARM VILLAGEの"村民"と位置付けて、今後は価値観を共有できる方達と積極的にコラボレーションしていく方針」とのこと。今後の展開が楽しみです。


▼TOKYO FARM VILLAGE
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ホームページ


▼中西ファーム ホームページ

▼磯村ミルクファーム ホームページ
(参考)人と牛とのつながりを軸にした酪農の6次産業化


▼BASEL ホームページ

たしろ ゆきこ

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。

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