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2022年5月16日
茶所「狭山」で新茶摘み
3年ぶりに行動制限のない大型連休。観光地は賑わいを取り戻したようですが、私は今年も遠出を避けて、自宅から車で30分ほどの「宮野園」(埼玉県狭山市)へ茶摘み体験に出かけました。
狭山茶は、静岡茶、宇治茶と並ぶ日本三大銘茶のひとつで、埼玉県西部、東京都西多摩地域を中心に古くから生産されています。お茶の産地としては北にあり、冬の寒さの中で育つ茶葉は南の産地に比べて厚みがあり、甘く濃厚で、コクのある味が特徴と言われます。
今回訪ねた宮野園さんは、明治2年(1869年)に創業。長年、地元のお茶屋さんとして親しまれています。毎年、新茶の季節になると茶摘み体験を開催し、子どもから大人まで多くの人が訪れるそうです。
茶摘みの前に、園主の宮野さん(写真右)から、「お茶の木には100種類以上の品種がありますが、日本で栽培されている品種の約8割は『やぶきた』です。ここはお茶の栽培では北の方になるため、寒さに強く品種改良された『さやまみどり』と『さやまかおり』があります。ぜひ、香りや味わいを比べてみてください」と説明がありました。また、「お茶の摘み方は、一芯二葉(いっしんによう)と言われるように、まだ開いていない先端の新芽とその下に広がる二枚の葉を摘み取ってください。葉の下の茎は『茎茶』になるため、茎を残すようにできるだけ葉の下ギリギリで摘んでください」と摘み方も教わりました。
親指と人差し指でお茶の葉をつまむと、柔らかい茶葉が摘み取れます。この日は私たちのほかには体験する人がいなかったので、「マスクを外して、ゆっくり摘んでください」と言ってもらい、新緑のお茶の木の間で、しばし「ぷち、ぷち。ぷち、ぷち」と無心に茶摘みを楽しみました。宮野さんから「そろそろ」と声がかかった時には、すでに30分以上が過ぎ、籠いっぱいの新茶が摘めました。
左 :茶摘み / 右 :茶葉 さやまかおり(左)とさやまみどり(右)
摘みたての茶葉は、普段飲んでいる「お茶の葉」とは違い、青々としてさわやかな香りがありました。お茶として飲むだけでなく料理に使うことはできないかと、そのまま口に入れてみましたが、生のままでは苦みが強く、生食には不向きだと感じました。でも、さっと火を通せば、お茶の香りを生かした料理になりそうです。
茶摘みのあとは、電子レンジで作る「手作り茶」体験です。摘みたての茶葉をさっと流水で洗い、ポリ袋に入れて電子レンジにかけます。「通常、蒸して葉に蒸気を当てることで発酵を止めます。今日は少量なので、それを電子レンジで行います」とのこと。加熱すると、よりいっそうお茶の香りが強くなり、甘い香りがふわ~っと出てきます。
水気を取るために、紙の上に茶葉を広げて両手を使ってもみ、冷めてきたらお皿に載せてレンジにかける、また紙に広げて、もむ。しっかり水分が抜けるまでこれを繰り返すと、お茶のでき上がりです。宮野さん曰く、「おいしいお茶になれ」という気持ちが大切とのこと。
水洗いして(左)、 袋に入れてレンジにかけた後(中)、手でもむ(右)
乾燥するまで繰り返すと(左)、手作り茶の完成(中)。新茶の天ぷら(右)
お茶作りに没頭しているそばで、摘みたての茶葉に天ぷら粉をつけて揚げた「新茶の天ぷら」も用意してくれました。サクッとした衣の中からお茶の香り、後からお茶ならではの渋みもあり、どの野菜にも例えられない不思議な味わいです。天ぷらに添えられた新茶と塩を合わせた"煎茶塩"が、さわやかで美味。これは、自宅でもまねできそうです。
残った茶葉は自宅に持ち帰り、2品の料理にしました。
ひとつは、「新茶の葉入りのリゾット」。オリーブオイルで炒めたお米に少しずつスープを加えて、ほどよい固さになるまで炊いたものに、新茶とお塩を加えて作ったシンプルなリゾットです。さっと加熱することで新茶の爽やかな香りが広がり、風味豊かなリゾットになりました。
もう一品は、タイ料理のガパオライス風の「挽き肉の新茶葉炒め」です。豚挽き肉にタマネギやピーマン、鷹の爪のみじん切りを加えて炒め、ナンプラーと醤油で味をつけて、仕上げに新茶を加えてさっと炒めます。ごはんとともに盛り付けると、お茶の香りが食欲をそそります。
お茶の葉は、なかなか手に入りませんが、飲用だけでなく料理にも使ってみると、新たな味に出会うことができました。機会を見つけて、また茶摘みにでかけたくなりました。
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。