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2021年11月17日
若者をターゲットにした地場野菜を使用した新メニュー開発~島しょ保健所大島出張所主催 健康づくり調理師研修会~
先日、東京都島しょ保健所大島出張所から依頼を受けて、「若者をターゲットにした地場野菜を使用した新メニュー開発」がテーマの調理師研修会(2日間)で講師を務めてきました。対象は、飲食店や宿泊施設等で調理業務に携わっている方たちです。
1日目は、まず保健所から「飲食店における健康づくりと食育の推進」の話があり、続く私のパートでは「島民の野菜摂取量増加に向けて~120gの野菜を食べる工夫」を講義しました。
120gとは、「野菜」の1日の目標量が350g、1日3食の食事として一食当たり120gの野菜を摂ろうということが根拠となっています。
野菜を含めたバランスのよい食事が健康を維持するために必要であり、飲食店においても、おいしさだけでなく健康的なメニュー作りを心がけてほしいという保健所の栄養担当の話を受けて、「どのような工夫をすれば、無理なく120gの野菜を盛り込んだメニュー作りができるのか」という話をしました。
まず第1に、野菜の色どりを利用することで、料理がおいしそうに見えること。また、野菜の色素成分には体によい働きが期待できる機能性成分(フィトケミカル)が含まれていること。
第2に、野菜の食感を利用することで料理の味が豊かになること。特に野菜は生、煮る、焼く、蒸す、揚げるなど調理方法で食感が変化するので、それを上手に利用することができます。
第3に、旬を意識した野菜を使うことで、季節限定のメニュー展開ができること。しかも、旬の野菜は栄養価が高く、価格も安いことが多いので、積極的に利用するとよいと伝えました。
また、120gの野菜がどれくらいの量になるのかを目で見て確認してもらえるよう、30種類ほどの野菜の元の大きさの重量と、その野菜の40gがどれくらいになるのかを画像で紹介しました。40gにした理由は、お店で1種類の野菜のみを使用することは現実的ではないので、40gの野菜を3種類使用した場合を想定しました。
実際に画像で見てもらうと、多くの参加者の方が「思ったよりも大変ではなさそうだ」と思ったようでした。
キャベツ1個(直径20cm)1350g(左)と、キャベツ外の葉1枚40g(右)
大根1本(直径6cm、長さ33cm)1150gと、大根厚さ2cmの半月切り40g
2日目の研修は、コロナの影響でテイクアウトの機会が増えた飲食店に向けて、「飲食店における持ち帰り・宅配品の衛生管理」として保健所の食品担当から話がありました。手洗いの徹底、食品を保存する時の温度など、飲食店でなくても参考になることがたくさんありました。
また、講義の後半で紹介された東京都が作成した動画「食中毒サミット」は、食中毒の恐ろしさや、どのように注意すればよいのかがドラマ仕立てになっており、不謹慎ですが、おもしろく理解することができました。
私のパートでは「明日葉を取り入れた中食(弁当・惣菜)メニューの提案」として、大島特産の明日葉(あしたば)を使った料理を紹介しました。
明日葉の茎の食感を生かした炒め物、明日葉の緑色を生かした「明日葉の緑の麻婆豆腐」、明日葉の独特の苦みを生かした「明日葉のガパオライス風」「明日葉バター」、手軽に作れる「明日葉のスムージー」など30品ほどです。
ビタミン・ミネラルが豊富なうえに、明日葉特有の機能性成分「カルコン」がさまざまな習慣病予防に効果が期待できるとされている、日本原産のスーパーフードとも呼ばれる明日葉。大島でも若い人は食べる機会が減っていると聞いたので、天ぷらやおひたしといった昔からの食べ方だけでなく、中華料理や洋風にアレンジすることで多くの世代に方に食べてもらえればと考案しました。
かねてから私が大事にしていること。「食べなければならない」ではなく、「食べたくなる」料理を提供すること。色鮮やかな野菜料理やふだんとは違った味付けで調理することで、野菜をもっと好きになってもらえるヒントになればと思います。
今回の大島出張では、明日葉の生産者さんを訪ね、圃場の見学もできました。その様子は次回のコラムでご紹介します。
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。