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「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【84】

2021年1月18日

自宅にいながら畑見学 オンラインセミナー【食べるなら今でしょ!深谷ねぎ】に参加


野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター 田代由紀子   


 最近は、すっかり当たり前になったオンラインでの畑見学。今回は、以前も参加した埼玉県北部の野菜ソムリエプロの牧野悦子さん、福島玲子さん、小林由紀子さんが主催するセミナー【「畑のごちそう1.2.3.」食べるなら今でしょ!深谷ねぎ】で、深谷ねぎの圃場を案内いただきました。


 今回の訪問先は、埼玉県深谷市の南部に位置する「馬場ファミリー農園」さん。長ネギ、ブロッコリー、コマツナ、ホウレンソウなどの露地野菜と米を栽培しています。特に「長ネギ」は、ほぼ一年中出荷し、全国へ宅配もしています。


 セミナーの前半は、圃場からネギの栽培や収穫について、馬場さんのお話です。
 「長ネギは短くても6カ月は畑にあるため、ほかの野菜に比べて病気にかかりやすく、雑草や病害虫の防除が大事な野菜です。特に昨年の夏は、雨が多く根腐れが起こりやすかったので、状態を見ながら排水の管理をしたり石灰をまいたりしました」。お話をうかがって、以前、体験農園でのネギの栽培、春先に植え付けを行い、生長にあわせて何度も土寄せをして、雨の少ない時には水まきをしながら、年末頃にようやく収穫できたことを思い出しました。


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 収穫はネギ専用収穫機「ソフィ」を使って行います。機体の前方でネギの畝を崩しながら掘り起こし、左右からはさまれたネギが後方に送られていきます。後方には作業台があり、ネギを束ねることできるすぐれもの。一人で作業しても、1時間で軽トラック1台分くらいのネギを収穫できるとのことでした。レポーターの福島さんが手掘りにチャレンジしていましたが、2~3本抜くのにも一苦労。土の固さがわかりました。


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 収穫されたネギは作業場に運ばれ、出荷できるように調製されます。ここでもネギ専用の機械が登場。根と葉を切り落とす作業と泥のついた皮をむく作業を1台でできるものです。この機械でも根を切ることができますが、馬場さんのところでは機械での調製が難しいことから、根は1本1本ハサミで切り落としていました。なぜ手間のかかることをするのかと尋ねると、「葉(白い部分)を傷つけてしまうとB品になってしまうから」とのこと。デリケートな作業です。


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 根を切り落としたネギを機械に乗せると、緑の葉が適度な長さに切り落とされ、外側の泥のついた皮が飛ばされて出てきます。
 深谷ねぎは白い部分の太さと長さによってランクが決まります。時には太すぎて規格外になってしまうものもあり、葉をむいて調整することもあるそうです。


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 後半は、福島さんによる、深谷ねぎの説明と調理デモンストレーションです。
 "深谷ねぎ"とは品種ではなく、深谷で育ち、深谷で出荷されたものを指すということ。鮮度を確認するには葉(緑の部分)の切り口を見るとよいこと、鮮度を保って保存するには上部を開けるようにして新聞紙で包んで立てて置いておくとよいことなどを教えてもらいました。
 また、ネギに含まれる成分アリシンが豚肉などに多く含まれるビタミンB1(チアミン)と結合することでアリチアミンという成分になり、長時間血液中に留まることができるので、ビタミンB1の働きが長く続くことになり、疲労回復効果が長く続くなど、栄養価についてもわかりやすく説明がありました。
 さらに、ネギには強力な殺菌効果があることから、ネギ農家は風邪をひかないと言われているという話を受け、「確かにインフルエンザにもかかることはないかな」と馬場さん談。

 セミナーで紹介してもらったお料理は2品、ネギと豚肉のスープとネギのサラダです。どちらも加熱することで甘みをたっぷり引き出し、とろりとした食感を楽しめるものです。


 このセミナーを受講した翌日、偶然にも深谷の近くに出かける用事ができたため、馬場ファミリー農園さんを訪ねることができました。ネギ満載の軽トラックやネギの調製機も見ることができ、また、作業場いっぱいのネギの香りを感じることで、前日の話がより一層身近になりました。
 たくさんの深谷ねぎを分けていただいたので、しばらくネギ料理が楽しめそうです。


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 次回の【畑のごちそう1.2.3.】は2月28日。イチゴをテーマに開催されるとのこと。埼玉県限定新品種「あまりん」のお話も聞くことができるそうで、とても楽しみです。

たしろ ゆきこ

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。

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