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2017年9月21日
今年の「野菜シンポジウム」で学んだこと
8月31日は、その語呂合わせから「831(やさい)の日」として、今年もあちらこちらで野菜に関連するイベントが開催されていました。
私はここ数年、独立行政法人農畜産業振興機構(alic)主催の野菜シンポジウムに参加しています。例年、野菜の生産者、流通関係者、管理栄養士、料理研究家など野菜の消費拡大の啓蒙につながるような講演が行われていますが、今年は50年以上青果店を営む杉本青果店の杉本晃章氏、日本料理「分とく山」の野崎洋光氏による「美味しい野菜は活力源」と題した講演会でした。
■「あなたは本当に美味しい野菜を食べていますか?」
「日本一美味しい野菜を売る八百屋」としてTV出演や本の執筆なども行う杉本さんは、自身が青果店で働くことになった50年前と現在の野菜事情の違いや、旬の野菜の見分け方など、「あなたは本当に美味しい野菜を食べていますか?」をテーマに講演をされました。
杉本青果店二代目として青果業についた50年前と現在を比べると、野菜の品数は3倍にも増えたとのこと。外国から輸入される新顔野菜や、品種改良で新品種の野菜が増えていることを考えると、納得のいく話です。そんな数多い野菜を、その時期にあった産地や品種、質を見極めて仕入れているので、常においしい野菜を販売することができるのだそうです。
また、スーパーや量販店にはない魅力が、青果店にはあるとも。それは、お客さんとの会話です。何を買いにきたのか、どんな野菜が欲しいのかを聞きだし、時にはその調理法をアドバイスしたり、また時には違うものをすすめたりするといいます。「今年は雨が多かったのでナシなどは日持ちが短いから、たくさん買おうとした人には半分売って、あとはモモなんかすすめちゃうんです」と。クスッと笑みがこぼれるような例え話で、杉本さんの販売の仕方が垣間見えるようでした。対面販売の「八百屋さん」ならではの販売方法ですが、最近の若い人はそういった会話に慣れていないため、買い物の仕方が分からなくなっているようだ、とも話していました。なんだか寂しい話です。
最後に「美味しいものには理由がある。その理由を知っていれば、美味しいものが手に入り、何より食事が楽しくなる」との言葉が印象的でした。
■「食の原点は家庭料理にあり」
有名日本料理店「分とく山」の総料理長である野崎さんは「食の原点は家庭料理にあり」というテーマでの講演でした。
冒頭から「和食ってなんでしょう?」「一汁三菜は、いつから言われているか知っていますか?」「トマトやアスパラガスはいつ日本に入ってきたか知っていますか?」など会場へ問いかける野崎さん。
西洋の食事が日本に入るまでは、あえて「和食」と言う必要がなかったという話は、言われてみればその通りで、目からうろこが落ちました。古くから理想の食事とされてきたと思っていた「一汁三菜」も、一般家庭に広まったのは学校給食が始まりであるなど、普段意識していない、食事を考える上での基本的なことを学んだ気がします。
ごはんを主食とし、季節の食材を楽しむ食事こそが日本の食文化「和食」であり、家庭での食事はもっと自由に楽しむべきだという野崎さんのことばが心に残りました。
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。