MENU
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2017年3月16日
春を告げる香り「ミョウガダケ」と江戸東京野菜でおもてなし
江戸東京野菜のひとつ、早稲田ミョウガの圃場を見学する機会がありました。東京都練馬区の井之口さん(右写真中央)は、かつて早稲田界隈に存在していたミョウガを伝統野菜として復活させた、ミョウガ栽培の第一人者。店頭ではあまり見かける機会の少ない「ミョウガダケ」も栽培されています。
ミョウガが夏から秋にかけて収穫される「花」であるのに対し、ミョウガダケは、冬の間に根株を地下の穴に植えて、日の光を当てずに育てた「茎」を食べます。今回は、井之口さんにミョウガ、そしてミョウガタケの栽培について教えてもらいました。
■春を告げる香り「ミョウガダケ」
デパートなどで時折見かけるミョウガタケは、15cmくらいの長さに切りそろえられパック詰めされているため、元の姿がどんなものなのか知っている人は少ないと思います。私も一度だけ、長いままのミョウガダケを調理したことがありますが、畑を見るのは初めてでした。
畑の一角にあるビニールハウスに入ると、緑色のシートがかけられた穴がふたつ。井之口さんがシートをめくると、淡い黄緑色の葉先が、覆っている金網近くまで伸びていました。ミョウガタケは、1mほどの穴に根株を植え込み、ほとんど光を当てずに育てます。植えこむ前には落ち葉やワラ、米ぬかなどを踏み固めて発酵熱で温度を上げるという、江戸時代の促成栽培と同じ栽培法とのことでした。「ほとんど」光を当てないのは、真っ白なミョウガダケにほんのり紅色をつけるために、ほんの一時だけ光や温度、風を入れることが必要だからです。いつ、どれくらいの日を当てるかは、ミョウガタケを見ながらの長年の「勘」が頼り。ミョウガタケ栽培の難しさを感じました。
今では手に入りにくく高級食材となったミョウガダケですが、「鎌倉の波に早稲田の付け合わせ」(鎌倉で荷揚げされた鰹には早稲田のミョウガがうまい、の意味)と江戸時代の川柳が残っているほど、江戸っ子には欠かせない春の香りだったのでしょう。
井之口さんに分けてもらった葉付きのミョウガタケは、優しい香りとみずみずしい食感で、一足早く春が訪れた気分になりました。
■江戸東京野菜でおもてなし
先日、江戸東京野菜を海外の方にも知ってもらおう、海外の方を江戸東京野菜でおもてなししようというてれび番組の企画があり、江戸東京野菜の料理を楽しみに、わが家にコロンビアとベトナム出身の方がやって来ました。
冬野菜のコマツナをメインに、金町コカブや亀戸ダイコンを使った料理を用意しましたが、江戸東京野菜が持つストーリーや調理法にも興味を持ってくれました。また、それぞれの国の野菜事情なども聞くことができ、貴重な時間となりました。
この日のようすは、江戸東京野菜コンシェルジュ協会会長の大竹道茂氏のブログで紹介されています。
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。