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2016年5月19日
江戸東京野菜「川口エンドウ」から始まった地域おこし活動
春から初夏にかけて旬を迎えるマメ科の野菜、サヤエンドウのおいしい季節になりました。一昨年(2014年)、伝統野菜の江戸東京野菜にサヤエンドウの「川口エンドウ」が認定され、仲間入りしました。
「川口エンドウ」は、八王子市川口地区で栽培されてきた、キヌサヤエンドウの在来品種です。ゴールデンウィークの頃になると可憐な赤い花をつけ、5月中旬から下旬にかけて出荷されます。大きめの莢の中にふっくらとした豆が入り、莢・豆ともに楽しむことができるキヌサヤです。江戸東京野菜として認定される直前までは、たった一人の生産者が自家採取を続けて守ってきた、貴重な野菜です。
昭和30年代は農協の指導もあり、多くの生産者が栽培を行い、特産化を図っていたと、「川口農協30年のあゆみ」(昭和52年川口農協刊行)に記されているとのこと。しかし、姿を消した多くの野菜同様、畑の宅地化や収穫の手間などから、昭和40年になると、川口エンドウは、急速に姿を消してしまったそうです。
右 :川口エンドウ
そんな川口エンドウを絶やしてはいけないと、江戸東京野菜への認定をきっかけに、八王子市の生産者を中心に「川口エンドウ普及プロジェクト」が発足され、現在では9名が栽培を行っています。「作る」だけでなく、さまざまな情報発信も盛んで、八王子市内の小学校へ栽培授業の指導に出かけ、子供たちに、自分の住む土地の貴重な伝統野菜、地元の農業の歴史や在来種とは何かなどを学ぶ機会を作っています。また、市内の道の駅や飲食店でも、単に商品を陳列するのではなく、川口エンドウの歴史や取り組みについて記されたポスターやチラシを置き、認知度アップを図っています。
先日、「今が旬! 八王子の江戸東京野菜 川口エンドウを知って味わってみよう」という講座が開催されたので、私も参加してきました。多くの八王子市民や伝統野菜に興味を持つ人とともに、その歴史や現状を学び、食べ比べやその特徴を生かした料理を味わってきました。このように、市民も巻き込んで、町の財産を守るという有意義な地域活動が行われています。
さらに今回は、畑でのようすも見てみたいと、圃場も見学させてもらいました。実際に収穫してみると、膝丈ほどの高さにもたくさんの実がなるため、腰を落としての作業となり、その労働の大変さと難しさを実感しました。
収穫した貴重な川口エンドウは、その個性を生かせるよう大事にいただきました。春らしい食材と合わせた、「川口エンドウと新ジャガのローズマリー炒め」や「川口エンドウのフキ味噌和え」、主食になる「川口エンドウと鰹のタタキ寿司」「川口エンドウとアサリのリゾット」など、シャキシャキとした食感、鮮やかな色合いが美しい料理ができました。
左 :川口エンドウと新ジャガのローズマリー炒め / 右 :川口エンドウのフキ味噌和え
左 :川口エンドウと鰹のタタキ寿司 / 右 :川口エンドウとアサリのリゾット
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。