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「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【19】

2015年7月21日

農園イベント「2015夏の収穫体験&農家のおもてなしランチ」    

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター 田代由紀子   


 すっかり定例となった農園イベント、「収穫体験&農家のおもてなしランチ」。今年も、夏野菜の会が開催されました。

※前回のイベントのようすはこちら


 東京都小平市のにごりや農園の小野さんは「野菜がどうやって作られるか、作るために農家がどのような工夫や苦労をしているのかを知ってほしい」との熱い想いから、近隣の皆さんや野菜好きの方々を集めて収穫体験の会を開いています。参加者の皆さんは、店頭でしか見ることができない野菜が、いったいどのように育っているのか、どんな花が咲き、どのように実っているのかを自分の目で確かめることができます。知っているようで知らない野菜のようすに、皆、感嘆の声をあげていました。


 梅雨どきで心配されたお天気でしたが、まるで真夏を思わせる太陽の下、いざ畑へ。
 この季節はゴボウやヤーコン、葉生姜、ネギなど、30種類以上の野菜が育っており、一つ一つ説明を聞きながら、野菜を見ていきます。地下に育つゴボウやヤーコンなどは、初めて地上の「葉」を見たという方ばかりで、改めて、知っている野菜はほんの一部だと感じたようです。


tashiro19_image2.jpg トウモロコシの畑には、育ち具合の違うトウモロコシが並んでいます。直売やJAへの出荷を中心に行っているため、いっときに実らないよう、3~4日ずつ期間をずらして栽培しているとのこと。

 ちょうど採り時となった畝に案内してもらい、まるまると太った大きなトウモロコシを収穫しました。よく見ると、数本、かじられ、倒されている木があります。ハクビシンのしわざ、行儀の悪い食べ方がなんとも憎たらしい。


 ジャガイモ畑には「キタアカリ」が。地上の葉はすでに枯れかかっていますが、その中に見慣れぬ物体があります。ジャガイモの実です。実を割りながら、「なにかの野菜に似ていませんか」と小野さん。皆、首をかしげていましたが、ジャガイモがナス科の植物だと聞き、納得!

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 地下のジャガイモはずっしり大きく育っており、どれだけ出てくるのか掘り進めるのは楽しい作業です。普段なかなか体験できない土とのふれあいも、収穫体験の楽しみの一つです。


tashiro19_image3.jpg エダマメは、収穫とともに、「枝豆調製機」にもチャレンジです。最近はすっかり見かけなくなった枝葉のついた枝豆の木から、エダマメをもぎ取るのは大変な作業ですが、機械を使うとあっという間に枝葉と莢に分かれます。根に近い部分を持って機械に差し込むと、おもしろいように葉が舞い、莢が流れて、手元に残るのは枝のみ。この作業のためだけの機械があるというのも驚きです。

 以前は、枝付きでないと鮮度が落ちると言われ、枝ごと販売されているものが多くありました。未熟な豆は、枝につけておくと栄養が葉にとられ、甘みが落ちてしまうことから、現在は莢のみで出荷しているとのことでした。


 収穫体験を終えると、農園の野菜づくしのランチが出迎えてくれました。もぎたてのトウモロコシやエダマメは、格別のおいしさです。あいかわらず「うちは醤油と砂糖と塩しか使わないの」という奥様の久恵さんのお料理は、シンプルながら創意工夫にあふれています。


tashiro19_image5.jpg 採れたてトウモロコシは、皮をつけたまま電子レンジで加熱をすると、うまみが逃げずにおいしい。キュウリの冷や汁は、冷たいだし汁で味噌を水で溶いたものに、スライスしたキュウリと角切りの豆腐を入れただけ。全く火を使わない、簡単・時短・お手軽な一品。そうめんやごはんとも合いそうなこの汁は、暑い夏に重宝しそうです。
究極の産直! 旬の野菜をふんだんに使ったランチメニューで、身も心も元気になりました。

 地元にこのような農園があることを初めて知り、うれしくなったという方や、野菜の魅力を再発見しましたという方。小野さんの想いは伝わったようです。

たしろ ゆきこ

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。

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