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2014年2月20日
春を告げる香り「ウド」
春の訪れが待ち遠しいこの季節。一足早く春を感じる香りがあります。それは「ウド」の香り。シャキシャキとしたみずみずしい食感がさわやかな春野菜です。数少ない日本原産の野菜の一つでもあるウドは古くから食され、江戸時代には栽培もされていました。
●小平のウド
東京では「東京うど」として多摩地区を中心に栽培が盛んです。私の住む東京都小平市にも、ウドを栽培している農家の方がいらっしゃいます。今回は小野農園の小野さんご夫妻を訪ね、栽培のようすなど、お話を聞かせていただきました。
東京うどは江戸時代に現在の中野区あたりで栽培が始まり、徐々に西へと広まりました。ウドは光を遮断した地下3~4mの穴蔵(ムロ)で育てるのですが、このあたりの関東ローム層(赤土)が地下深く穴を掘り下げるのに適していたのです。
ウドは種ではなく株分けで栽培するのが一般的です。2月頃、根株についた新芽を切り分け株分けの作業を行います。4月になると種株となる根株を畑に定植しますが、ウドは連作を嫌うため、現在は赤城(群馬県)の畑で行っています。夏には可憐な白い花を咲かせ、霜が降りる頃になると地上の茎は枯れますが、ウド栽培に必要な根株は立派に育っています。
右 :まっすぐに伸びたしろいうど
掘りとった根株を、ここ小平までトラックで運び、ムロにていねいに並べ、土をかけ30日~40日かけて成長させます。小野農園には先代から引き継がれたムロが5つありますが、一度に植えきれない根株は、一旦地上の土に埋め保管します。
今回はムロの中も見学させていただきました。トタンのふたを開け、穴蔵へ立てかけたはしごを恐る恐る降りていくと、地上の寒さとはうって変わって心地よい暖かさ。ウドの生育のためにムロの中は常時、温度20度前後、湿度90%くらいに保たれているとのことでした。
左 :うどむろの蓋を開けたところ / 右 :私が穴を降りていきました
穴の四方にそれぞれ横穴が広がり、そこには間もなく収穫を迎える真っ白で真っ直ぐに伸びたウドが美しく並んでいました。ほのかな灯りに照らし出されたその光景は、それはそれは幻想的なものでした。数百本のウドが立ち並ぶ中、直径が5cmを超えていると思われる極太のウドも数多く見られましたが、このような立派なものは料亭などに出荷されるとのことでした。ムロの蓋の開け閉めで「ウドが風邪をひいてしまう」というほど、ムロへの出入りは最小限にしているとのことなので、とても貴重な体験でした。
ウドの栽培は、「地上で育てる野菜と違って成長の様子を常時確認することができない」「数kgにもなる根株の植え付けや収穫など、ムロの中での作業はずっと中腰で行わなければならない」など、ご夫妻からウド栽培の苦労話も伺い、ウドがますます愛おしい野菜となりました。
右 :みずみずしいうどからは想像しがたい頑丈な根
●ヘルシー野菜のウド
みずみずしいウドは90%以上が水分の低カロリー野菜。カリウムや食物繊維を多く含んでいます。抗酸化作用のあるクロロゲン酸、疲労回復効果の期待できるアスパラギン酸、血液の循環を良好にするジテルペンアルデヒドも含んでいます。
●ウドレシピ
生でも、炒めても、揚げてもおいしいウド!
食感を活かすには、加熱のし過ぎに注意しましょう。
【ウドとツナの炒め物】(小野さんのレシピより)
【材料】 4人分
ウド 1本
ツナ缶 1缶
グリーンピース 1カップ
卵 2個
油 大さじ2.5杯
塩・こしょう 適量
レモン汁 大さじ2.5杯
【作り方】
1. ウドは5cmの長さに切って皮をむき、斜め切りにし、酢水につけてアク抜きをする。
セロリは斜めの薄切りにする。
2. ツナ缶は汁をきってほぐしておく。
3. 油(大さじ1.5杯)で卵をふんわりと炒めてとり出す。
4. 油(大さじ1杯)を足し、1のウドをさっと炒めてから、ツナとグリーンピースを加えて、塩・こしょうをし、卵を戻して炒め合わせ、レモン汁をふる。
【材料】 4人分
ウド 1本
なつみかん 1個
オリーブオイル 大さじ1杯
塩漬けオリーブの実 4~5個
塩 適宜
【作り方】
1. ウドの皮をむき、食べやすい大きさの乱切りにし、酢水につけてアク抜きをする。
2. 夏みかんの皮をむき、房から実をとり出す。
3. オリーブの実は種を抜き、半分に切る。
4. 1.2.3を合わせ、オリーブオイルで和え、塩味が足りなければ塩を足す。
※ウドの皮も美味しく!
ウドの皮は千切りにし、ゴマ油で炒めお醤油・お酒を加えてキンピラに。鷹の爪を加えたピリ辛がおすすめです。お弁当のおかずにも最適です。
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。