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2013年2月 4日
気象情報にはどのようなものがあるか II
(株)ウェザーニューズ 梅田 治
前回は予報系データを解説したが、つづいて実況系の気象情報を紹介する。
●実況系データ
現在、あるいはそれに近い時制の過去情報である。
昨今、地球温暖化が各分野で叫ばれているが、各地で平年に比べての気温の上昇は、実際にデータからも見て取れる。特に夏季における気温上昇は顕著で、農作業者の熱中症危険度や、露地栽培作物の収穫時期•病害虫発生状況などに影響が大きい。
図1‐3 県庁所在地の月別平均気温の平年値と2010年データ比較(鹿児島)
【地上観測実況】
地上に設置されている気象観測ロボットや、有人観測所の実測された気象データのこと。「気温」「風向風速」「降水」などのデータのほか(図1-4)、日照時間、気圧、天気、紫外線、感雨(降水の有無)などを観測しているところもある。
10km~20km四方に1カ所の割合で設置してあることが多いが、農作業の実施可否判断に活かすため、さらに局地的なデータを入手する目的で、独自に追加設置している農業研究機関や農業生産者もいる。
民間気象会社でも、最近は、より細かいエリアでの観測機設置を始めており、利用者からの最新情報を現況把握に活かす(図1-5)など、実際の農作業に活かすための工夫が凝らされている。
図1‐4 地上観測実況(九州地方のデータ例)
図1‐5 ウェザーリポート(人間系実測データ)
【気象レーダー】
レーダーから上空に発信された電波の反射強度により、「雨は降っていない/どのくらいの雨が降っている」を示すデータである。降水強度が階級別に色で示され、赤や黄色の地域で強い雨が降っていることを示す(図1-6)。ただしあくまで推定値となり、当該地域で確実に雨が降っているかどうかは、実際にはわからない。
このレーダーデータも、最近、民間気象会社/民間企業で機器の設置や取得を始めており、空間的にも時間的にも、より細かい観測が可能となってきた。局所的な大雨・大雪・突風などの迅速な察知に役立っている。
図1‐6 気象レーダー(東北地方のデータ例)
【衛星画像】
上空の気象衛星から撮影した、雲画像情報のことで、用途により赤外/可視などのデータ種別がある。赤外画像は昼夜関係なく入手が可能で、一般的な天気予報の気象衛星画面でよく見られるものである(図1-7)。白いほど、雲の雲頂温度が低い(赤外)、あるいは厚く強い雨が降っている(可視)などの特徴が読み取れる。
図1‐7 気象衛星(日本周辺広域 赤外画像)
【ライブカメラ】
各地の空や雲の形や色・変化などを映し出し、現地の天候の状況を把握できる(図1-8)。視覚により直観的に対象地域の天候を把握することができるので、利用者が増えている。ライブカメラ本体や通信機器がコンパクトになり、各企業や公共団体の他、最近は個人でも設置できるようになり、飛躍的に設置箇所数が増えた。
図1‐8 ライブカメラ情報(最新/時系列変化)
その他にもいろいろな実況データがあるが、農作業者が必要としているデータはより多様化している。また、空間的にも時間的にも、より細かなデータが必要とされる傾向にある。(つづく)
▼農業に気象情報を活用しよう(1)はこちら
(株)ウェザーニューズ 栽培気象グループ 気象予報士 1989年入社。予報センターなどを経て、2010年より栽培気象グループ。生産者向けコンテンツを携帯電話などで提供中。