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地産地消ブームに乗れ 【3】

2011年12月14日

加工品も工夫次第
 
                      全農肥料農薬部 資材店舗推進室  駒谷 行雄


人より目立たせるために

 一番簡単な加工は、包装形態を変えるということです。農産物直売所では、人より目立つことが重要です。それほど難しく考える必要はありません。たとえば袋のサイズを変えてみましょう。
 レッドオニオンを2つ入れて売っているのを辞めて、1つにしてみるのです。もともと、レッドオニオンは彩りで売れているものなので、いちどに2つ使う必要はないことが多いわけです。だとすれば、2個120円で売らないで1個70円で売ってはいかがですか。

 沖縄の農産物直売所では、人参5kgを一袋で売っていました。お分かりですね、業者さんが買っていくのです。値段が同じであっても、持ち運びやごみを考えれば、こっちのほうがいいというわけです(実際は少しお安くなっていました)。神奈川の直売所では、「トマトの宝石箱」という商品が売れています。これは、大き目のパックに、桃太郎はもちろんミニトマトやフルーツトマトと、色とりどりで大きさもまちまちのトマトが詰め込まれています。ネーミングがいいですね。


大きな加工設備は必ずしもいらない

 加工といいましたが、それほどたいしたことをするわけではありません。まずは、ゴボウを洗って、皮をそげ落として、千六本に切ったものに、人参の千切りを少しと鷹の爪3本を入れて袋詰めしてください。これで、今まで200円で売っていたゴボウが400円になります。カボチャは半分に切って売っていますか。ちょっと外皮をむいて、一口大に乱切りにして袋詰めすれば、包丁が立たなくて主婦が苦労することもなくなります。これで5割は高く売れます。

 山に行って採ってきたよもぎを売れと前回書きましたが、餅つき機に入れて草もちにすれば、もっと高く売れます。大きな設備を用意して加工するのが加工品作りだ、と思う必要はありません。漬物だって立派な加工品です。干し柿や干しわらびもいいですね。
 エノキだけの乾燥品は、戻して吸い物に入れるとしゃきしゃき感が残っていて、意外とおいしいものです。何でもやってみましょうよ。うまくいったら少しづつ量を増やすのです。失敗しても、被害は知れています。


意外な売り方

 とっておきのアイデアを提供しましょう。実は何にもしない・・・のです。これは山口の農産物直売所で見たのですが、ソラマメを抜いたままの状態で売っていたのです(写真左)。確か200円でした。きちんと取り外して袋詰めしたものは250円でしたが、量は2倍ほどありました。そんなものが売れるのかと思うでしょ。でも、若いお母さん風の人がだれに言うでもなし、ひとりごとのように「ソラマメってこうやってなっているんだ」と感心したようにつぶやいていました。買って帰って、子供に見せたのだと思います。芽キャベツもそのままで売れそうです。収穫の手間と包装の手間(費用を)省いて、しかもお客様にサプライズを提供できるわけです。鈴なりに渋柿が成った枝を見たことがあります。筆柿のような小さいものでしたが、20個ほど付いていました。烏瓜(からすうり)の実が付いたつるもありました。これらは、ひょっとしたら、生け花に使われるのかもしれません。どこにでもアイデアは落ちています。


保健所に相談する

 最後に、加工品作りは、地元の保健所に相談してから始めてください。条例(県などが制定する)によって、漬物製造に許可がいるところといらないところがあります。許認可の取り方など、保健所を積極的に頼って、教えてもらいにいくことが、うまくいくコツだともいえます。(了)

こまや ゆきお

全農 肥料農薬部 資材店舗推進室勤務。
昭和46年、全購連(現全農)に入会、農業技術センター農薬研究部に配属。平成5年から資材部で全国100店舗近くの立ち上げ運営支援、店長教育等に係わってきた。農林水産省「地産地消の仕事人」、JA地産地消全国協議会専任アドバイサー。著書には「農産物直売所の繁盛指南」(創森社)等がある。

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