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2011年11月18日
人と違うことをする
全農肥料農薬部 資材店舗推進室 駒谷 行雄
人が売っていないものを売ろう
きゅうり農家は、シーズン中にはどこにも行けません。3日放っておくと、大きくなりすぎて売れないからです。でも、5cmになったきゅうりを、どんどん収穫してしまいましょう。3日続ければ、次が売り物になるためには、5日くらいはかかるでしょう。その間に旅行ができます。5cmのきゅうりはミニきゅうりとして、浅漬けの素と一緒に売れます。
とうもろこしのひげは、韓国ではお茶として普通に売られています。柿の葉・どくだみ・いちょう・枇杷・どくだみ・スギナなどは、漢方薬局で乾燥させたものを、お茶として売っています(薬として売るのは反則です)。
よもぎを一年中栽培して、草もち用に売っている人がいます。ハコベは十姉妹が食べるものだ、と決め付けてはいけません。てんぷらにするとおいしいです。みんな売ってみましょう。売れなくても元手はほとんどかかっていませんよ。
山に行ってください。春はふきのとう・わらび・ぜんまい・こごみ・たらの芽・こしあぶら・うど・筆竹・つくし・のびる、まだまだ、地方には地方だけの山菜があるはずです。関連する昔話などあったら、レシピと一緒に袋に入れましょう。あく抜きやはかまの取り方などは、ていねいに説明してください。
右 :じばさんず試食(神奈川 じばさんず)こんな試食もあるという例
ここまで読んだあなたは、「町の人はみんな自分で取ってきて調理している」と思っているでしょう。調理方法なんて、誰でも知っていると思っているでしょう。でも、最近嫁いできた人、転勤でやってきた人、たまたま旅行中に通りかかって店に寄ってくれた人、うろ覚えの人、そんな人もたくさんいるのです。
実は、採りたてで新鮮な山菜は、お客様を店に呼ぶための手段でもあるのです。スーパーマーケットにはない、季節を先取りした山菜は、農産物直売所の存在を強くアピールします。わかりやすく言うと、「農産物直売所ではあまり売れないつくしが、隣に並んでいるナスやきゅうりを売ってくれる」のです。ぜひ、山菜をお店に出してください。
人が作っていないものを作ろう
だんだんわかってきましたね。次にねらうのは、人が作っていないものを作るということです。たとえば、葉を食べる人参が開発されています。炒め物や和え物にしたり、そのまま水菜のように刻んでサラダとして売れ始めています。そうした商品にいち早く取り組むことで、ライバルに先制することができます。もちろん栽培に多少の工夫は必要ですし、食べ方の説明も必要でしょう。種苗会社は、こうした情報をたくさん持っています。その努力が収益に結びつくわけです。ネットで探してみてください。すでに普及所の先生方は、試験栽培を始めているかもしれません、聞いてみましょう。
そこまでしなくても、男爵・メークイン・キタアカリの3大品種のほかに赤系のジャガイモを加えれば、ほかの人との違いが出せます。言い忘れましたが、農産物直売所では、普通収穫しない直径3cm以下のジャガイモも売れます。皮ごと油で揚げて塩を振って、フライドポテトが出来上がりです。
栽培時期をずらして、ライバルが出荷する前に出すとか、みんなが出荷し終わってなくなったころに出すとか、それだけでも売れ方が違いますし、高く売れます。
左 :シュシュレストラン(長崎 おおむら夢ファームシュシュ) 隣接してレストランを開設、結婚式や回忌法要などもやっている
農家は「できたものを出荷する=生産者」から、「何を作るか・いつ作るかを考える=経営者」に脱皮しなくてはなりません。多くの農産物直売所は、お盆の1週間前とクリスマス1週間前あたりが一番売上げが上がります。・・・・・だったら、その時期に生産量がピークになるように、種まきの日を決めるのです。そう考えるのが経営者というものです。
もうひとつ重要なことがあります。それは加工して売るということです。(つづく)
全農 肥料農薬部 資材店舗推進室勤務。
昭和46年、全購連(現全農)に入会、農業技術センター農薬研究部に配属。平成5年から資材部で全国100店舗近くの立ち上げ運営支援、店長教育等に係わってきた。農林水産省「地産地消の仕事人」、JA地産地消全国協議会専任アドバイサー。著書には「農産物直売所の繁盛指南」(創森社)等がある。