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2016年6月21日
6月7日、福岡県大牟田市で、全国農業システム化研究会の事業により、水稲の乾田直播栽培の播種作業が行われた。3日前に梅雨入りした九州北部地方だったが、当日は天候に恵まれ、作業日としては最適の条件となった。
実証圃を担当する南筑後普及指導センターは、水田の輪作体系を想定し、麦・大豆への汎用性が高く、前耕起が不要の「一発耕起播種機」を使って技術実証に取り組むこととしている。
事前準備として、5月25日に圃場周りの額縁明渠の施工とラウンドアップマックスロード(日産化学工業株式会社)による除草処理を行った。
左上 :播種量の最終調整
右下 :圃場ではロータリーによる耕深をていねいに調整。深さ約10cmに設定
・播種量 :4.7kg/10a(浸種籾)
・施肥量 :19.5kg/10a(緩効性肥料 トータル窒素8.0kg/10a)
・播種深度:2.0~2.5cm
・品 種:ヒノヒカリ
一発耕起播種機の「トリプルエコロジー」は、耕起、砕土、播種を一度に行うことができる優れもので、省力・低コスト化に大きく貢献できる。
8条播きのトリプルエコロジー(KTBM2200E-C:株式会社クボタ)
播種後の圃場内から、無作為に3地点を選び、3種類の網目の異なるふるいを用いて土壌の砕土率調査を行った。目合いは38mm、30mm、20mmで、20mm以下まで砕かれた土が70%以上だと、しっかり砕土されたこととなる。
左上 :無作為に3地点選び、適当量の土をふるいにかける
右下:20mm目合い網から落ちた土の量が70%以上であれば良い
続いて播種後は鎮圧作業を行った。湛水直播は、代かきを行うことにより、水中で分散した細かい土粒子が沈み、水を通しにくい層を形成し、漏水防止となる。しかし、乾田直播は初め入水せず、代かきを行わないため、漏水対策が必須である。鎮圧を行うことで、漏水の原因の空隙を減らし、漏水防止となる。また、発芽安定や除草剤の効果安定にもつながる。
左上 :振動式鎮圧ローラは振動しながら鎮圧するため、よりしっかりと鎮圧される
(バイブロスーパーソイラーSV2-T(転圧ローラ仕様):川辺農研産業株式会社)
右下 :鎮圧されたところは足跡もつかないほど固くなっている
鎮圧作業後、ブームスプレーヤでサターンバアロ乳剤を散布し、除草処理を行った。
クミアイ化学工業株式会社のサターンバアロ乳剤は畑地一年生雑草に効果がある発芽前処理の土壌処理剤
乾田直播栽培は、これからの大規模農業には期待が大きい技術である。この実証調査で技術のさらなる確立と、現場への普及につなげていきたい。(みんなの農業広場事務局)