普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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大分県
塩崎洋一

発表会に向けて

2024.10.22

 今年度の畜産業績発表会に向けて、担当Sくんのリハーサルです。
 Sくんは採用2年目。実家は南部振興局管内とのことで、県南同士の親近感もあります。
 とはいえ、まだ2年目。一生懸命ですが、慣れないことも多く、周囲の先輩からは、「これはこうしたらどうか」「このスライドはもっとこの方がよい」などなど、バリエーションに富んだ突っ込みが入りました。


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奥でパソコンを操作するSくん、左が畜産部門主任のNさん、K部長、右手が畜産班のH総括。四方八方から優しい檄が飛び交っています


 アドバイスをしっかりと受け止めて、本番当日はビシッと決めて欲しいところです。
 ちなみに、内容はと言うと、管内は大分県随一の平野部で、地の利を生かした自給飼料生産のコントラクター活動が盛ん。そこに関わった普及活動の発表です。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興で普及活動の第二幕、北部振興局で普及活動第三幕を終えた矢先、北部からさらなる要請があって第4幕が上がった。なかなか自分のやりたいことに集中できない、でも断れないジレンマを抱えながら、それでも全力で普及員をやる気持ちです。

大分県
塩崎洋一

普及活動 第三幕 ~懲りずに頑張ります~

2024.10.17

 第二幕を終えた後、「うちに来てくれ」と請われた農業法人に半年ほど勤めました。そこを退職した昨年秋、とある牛飼いさんの要望で、堆肥舎作りをお手伝いしていたところ、作業中の屋根の上で携帯が鳴りました。

 「塩崎さん、臼杵からでは遠いけど、育休代替でうちに来てくれませんか」とのこと。「高速代が出るなら」と受けた次第。そうして、7月から普及現場にて、第三幕(北部振興局)をやっています。

 すると、第二幕よりも現場にかり出される日々の状況から、「こりゃあブログにした方がよいかなあ」と思いながら、もう10月。勤務終了は年末だから、今のうちならいくらかできると、事務局へお話しした次第です。


 偶然とはいえ、堆肥舎作りをやっていたのは当管内(宇佐市)。
 しかも、現職時代に新採用で配属されたのも当管内(昭和63年4月、中津農業改良普及所)だったので、少なからぬ因縁を感じながら、勤めております。

 以前、南部振興局勤務時代にも紹介しましたが、この管内も海岸があります。ところがこちらは、豊後水道にはない風景、周防灘の遠浅です。やっぱり海の風景は、色といい香りといい、ゆずれません。


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周防灘の砂浜。遠く対岸は山口県かな。この絵は手伝っている堆肥舎の屋根からです

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興で普及活動の第二幕、北部振興局で普及活動第三幕を終えた矢先、北部からさらなる要請があって第4幕が上がった。なかなか自分のやりたいことに集中できない、でも断れないジレンマを抱えながら、それでも全力で普及員をやる気持ちです。

blog_hukyu_kasahara2_f.jpg 青森県
笠原 均

地域運営組織は、環境保護活動に取り組んだ

2024.09. 6

 青森県五所川原市で活動する地域運営組織「三好をあじあう会」は、「地域資源の発掘・活用」の一環として、環境保護活動に取り組んだ。水田の畦に穴を開け、稲の根を食い荒らす、あのにっくきアメリカザリガニの駆除に取り組んだのである。


1 イベント化
 地域運営組織が継続的に活動していくためには、運営資金が必要である。そのため、これまでも様々な企画をしている。その中で今回は、「三好ザリガニ釣り大会」と銘打って、イベント化したのである。
 イベント開催に先立ち、三好をあじあう会は、アメリカザリガニが日本にやってきた経緯、環境に与える影響、捕獲後の取扱いを勉強し、それからSNSで有料広告を打ったのである。


2 SNS広告の対象は、「小学生の子供を持つ親」!
 三好をあじあう会がSNSで有料広告を打ったのは、今回が初めてである。
 当初の想定では親子10人程度で、こぢんまり釣りを楽しむつもりであったが、広告公開直後には40人の参加者を集め、慌てて募集制限をかけて何とか50人で止めることができた。


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アメリカザリガニ絶滅の危機!?


3 準備
 昨年、住民向けに行ったICT研修会が多少でも効果があったのか、スマホ嫌いであったはずの三好をあじあう会メンバーの連絡方法は、ほぼグループLINEに移行した。私もグループに入っているので、職場に居ながらにして、住民が準備をしている様子がよくわかる。
 LINE画面をスクロールしていると、水路を見回る会長らしき姿が・・・。
 「もしも一匹も釣れなかったら可哀想だ」と、会長自ら前日にザリガニを捕獲しにいっていたらしい。頭が下がります。


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ザリガニを探す会長らしき人物(撮影者不明)


4 当日
 前日の土砂降りが嘘のように、当日の朝は日差しは強いものの、さわやかな晴天である。
 最初に「アメリカザリガニは、稲に悪さをする悪い奴なんだ」「釣っても、持って帰れませんぞ。」という説明をした後、さっそくスタート。


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生け簀に用意する農業青年


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左 :釣り竿づくりから指導する三好をあじあう会会員(右)
右 :釣れそうで、なかなか釣れないのである・・・


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釣れると撮影会が各所で始まる・・・


5 結局のところ・・・
 「とっても楽しかった!」というのが、総じて聞かれた子供達の声であった。
 ザリガニ釣りは外来生物駆除になるだけでなく、「子供達に自然体験を・・・」と言っている大人達も大真面目に取り組める自然体験であったようです。
地域資源の活用として、ザリガニ釣りはなかなか良い企画であったと思います。


※肖像権を侵害しないよう、写真は意図的にぼかしています。
※アメリカザリガニは、特定外来生物です。適切な管理をしましょう!

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

blog_hukyu_kasahara2_f.jpg 青森県
笠原 均

意外と使えるかも知れないテクニック

2024.08. 9

 前回のブログに書いたとおり、モデル集落の運営指導は県が委託した中間支援組織に任せて、普及指導員は「一歩引いて」モデル集落の活動を見守っています(私的には、ちょっと寂しい)。

 それでもモデル集落「三好をあじあう会」のグループLINEを見ると、せっせと廃材等を利用して、住民らが農産物等の販売拠点を作っているのがわかります。
 なんと畳を剥がして、基礎から直しているのですね。スゴイ。


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販売拠点の床を直す様子


 普及活動をしている私が、「中間支援組織が期待するような活動をしない」「地域住民が少しも動かない」等々の悩みを抱えるのではなく、中間支援組織の協力のもと、モデル集落住民が自ら地域づくりを進めている・・・、そう考えれば、まさに普及が狙ったように動いているのかも知れません。
 ・・・私の気持ちが、少しだけ、さっぱりしました。


 さて、話は変わりますが、先日、私が職場の同僚に「思いがけないところから、協力者を連れてくる方法」という話題を披露したところ、意外とウケました。
 せっかくですので、この場でも紹介したいと思います。


<個人経営のお店に商機あり>
 ただならぬ「地域おこし力」を持った中間支援組織、NPOジャズネットワークを見つけた時もインターネットだけで探した訳ではありません。
 私の知っている限りの人物に隈無く「○○のような人を探しています! 紹介してもらえませんか!?」と、連絡をとっております。
 もちろん単にメールや電話だけでは色好い返事は期待できないので、週末には個人経営のレストランや、喫茶店も転々と回っておりました。というのは、個人経営のレストラン、喫茶店では、愚痴も含めて常連客がマスターに色んな情報を伝えていることが多く、知らぬ間にお店は情報のたまり場になっているのです。

 今回のNPOジャズネットワークを紹介してくれたのは、弘前市にあるレストランのマスターで、マスターを介して連絡を取ったので、相手に警戒されることもなく容易に会うことができました。


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 今回に限らず、鮮度の良い情報を得るために、私は普段から彼方此方(あちこち)のお店に顔を出しております。特に個人経営のお店のマスターと懇意になることは、100T(テラバイト)のWebサーバーを手に入れることに匹敵します。
 だから、週末に私が喫茶店で何杯もコーヒーを飲んでいるのは、暇だからという訳ではありません。そんなお店ではNPOだけでなく、切り絵職人、作家、大学の先生、売れないミュージシャン等々、色々な人に出会えるのです。


 今回は、いつもとはちょっと違った感じに書いてみましたが、多少でもお役に立てたでしょうか。

 今回のブログの評判が良かったら、他にも使えそうなテクニックを紹介したいと思います。全国農業改良普及支援協会を通して、御連絡くださいね。ネタはたくさんありますよ。m(_"_)m

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

blog_hukyu_kasahara2_f.jpg 青森県
笠原 均

幸せの始まりと夢の終わり

2024.06.27

 先月の投稿からして、当然のことながら「播いた種は、ちゃんと育てるんだよ」
「人々や集落を育てるには・・・」なんてことを書かなくてはならないのですが、今回はそれどころではないのです。
 まさに青天の霹靂(「晴天」と書かなかったのは、青森県のブランド米を意識してのことです)、光芒一閃、滄海桑田(そうかいそうでん)、急転直下の大展開と言いたいところですが、あまりにドラスティックにしてドラマティック、怒濤、激変、疾風のごとく、さらに先の見えない不安を加えて表現すれば、まさに一寸先は闇・・・。早く本題に移ればいいのに、そんな言葉を長々と並べてみたくなる程、激しい動揺っぷりなのですよ、私は・・・。


 さて、気を取り直して、ここ最近の急変をご報告したいと思いますと書きつつも、現在進行形なので具体的に書けないのですよ。迂闊に書くとデジタル媒体にも関わらず、黒塗りの伏せ字だらけという前代未聞の普及ブログになりそうなのです。でも急変なのです。

 少なくとも、住民が目指す方向へ「トントン拍子」で進んでいるのです。それは、言えます。しかし、急速な円安と同様「急速に急変」するのは、やはり多くのリスクを孕むのです(結局、何が言いたいかわかりませんね!事が済んだら、何らかの形で発表します)。


 話を戻します。
 青森県西北地域におけるモデル集落は、この2年間の普及活動が功を奏し、強固で確固たる信頼関係が芽生え、「自分の地域は、自分達で守る」という金城鉄壁の絆が培われました。この状態を、私や関係機関は、便宜的に第1ステージと呼んでいます。例えれば、駆け出しのアイドルグループが「どんな困難にも、決して私達は負けないわ!」と、目をキラキラさせながら夢を語っているステージです。この時は、どんな苦しみであっても、苦しみが苦しみではないのです。

 私にも、そんな時期がありました(←どうでも良い)。


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 しかし!
 しかしですよ。アイドルグループにも集落の育成にも、第2ステージがやってくるのです。
 デビュー直前にして100万回の動画再生回数を1日で達成! 東京ドームコンサートは、満員を越える満員。チケット代は転売が横行するほどに跳ね上がり、さらに、「いくら稼いだんだろー」と青森銀行で記帳すれば、記載される桁数を越えた未曾有の金額! ちなみに私は、そんな通帳を一度も見たことがありません。


 幸せの始まりと夢の終わり。
 「これからも伝説のアイドルと呼ばれるよう精進します!」とテレビカメラに向かって、がっちり肩を組んでお互いを称え合うのもつかの間、この瞬間にメンバーの絆には、太くて大きな楔(くさび)が打ち込まれるのです。
 金と労働、責任と苦労・・・、全てをきっちりと分配するのは難しく、グループ内に不穏な空気が漂うのです。


 そうです。
 私が担当しているモデル集落は、この第2ステージに入ったのです。当然のことながら、地域のためにやってくるだろう移住者の受入に対しても、それを支える金銭的な負担や、責任の所在、今後の運営方針について、一丸となっていたはずの住民の間に温度差が生じました。
 ただ、地域運営の難しさは、人間関係の難しさとほぼ同義に感じます。当然、見切り発車に見える地域住民組織の決断に「不満、不安」があっても、意義を唱えるのはなかなか難しいものです。そこに地域の人間関係の難しさを感じます。

 しかし、ここは「住民でない誰か」が言わなくてはなりません。
こういう場合は、普及指導員が言うべきなんでしょうか?なかなか悪い役回りです。


「皆さん、あまりにも急激に物事が進んでいます。ここは少し慎重になるべきではないでしょうか?」

 私のセリフは、勢いに乗っている地域の動きにブレーキをかける「お役所」の発言として受け止められたことでしょう。この日、私は集中砲火を受けることになります。県と中間支援組織(県と住民の間を仲介するNPO)、住民の間にまで広がる「大きな意見の隔たり」が見えた瞬間です。


 これは、私だけでは手に負えないので、職場の上司にも入ってもらって、中間支援組織の職員3人と、3時間近くかけてじっくり、そしてしっかりと話し合ったのです。その途中経過を書けないのが、本当に残念です。


 結論として、県は、中間支援組織に「これまでどおり地域の中で一緒に汗を流すような活動をしてもらうこと」、「普及は一歩下がって地域を見守ること」を確認しました。担当の私としては、本当は野菜の産地づくりよろしく、ガンガン地域に入って地域をリードしたかったのですが、「船頭多くして船山に上る」という諺もありますよね。ですから、ここは腹を括って(指を咥えてではない)、ここは中間支援組織や住民の意向に任せようと思ったのです。

 私がこれまで見聞きした限りでは、第2ステージを難なく乗り切った地域の例は知りません。ここは、じっくりと見守りたいと思います。
 事実は、小説より奇なり。


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<おまけ>
 最後のイラストに、今回のブログで書きたかった全てが込められてます。謎解きは、数年後になるかもしれません。

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

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